プロンプトエンジニアになるには (必要なスキル、注意点)

ChatGPTなどのAIツールの普及に伴い、業界内でも注目を集めているプロンプトエンジニア。ニーズの高まりを感じる反面、新たに生まれたエンジニア職種であり、どうやって技術をつけていけばよいのか分からない人は多いですよね。

そこで、この記事では、プロンプトエンジニアになるために必要なスキル、注意点などをご紹介します。

【この記事を読むと分かること】

  • ・プロンプトエンジニアとはどんな職業か
  • ・プロンプトエンジニアに必要なスキル
  • ・プロンプトエンジニアとしての注意点

目次

  1. プロンプトエンジニアとは?
  2. プロンプトエンジニアに必要なスキル
    1. ① 自然言語処理(NLP)の理解
    2. ② プログラミングスキル
    3. ③ 機械学習およびディープラーニング
    4. ④ データ処理
    5. ⑤ モデル評価とデバッグ
    6. ⑥ モデルの適応と改善
    7. ⑦ インフラストラクチャーとデプロイメント
    8. ⑧ 倫理とプライバシー
    9. ⑨ コミュニケーション能力
  3. プロンプトエンジニアとしての注意点
  4. 最後に

1.プロンプトエンジニアとは?

AIに対し、自然言語処理(NLP)技術を用いて、質問や指示を出し(プロンプトの作成)、適切な回答(文章、画像などのアウトプット)を引き出すエンジニアのことです。

従来のプログラミング言語を使用した指示ではなく、自然言語処理(NLP)技術を用いた自然言語(人と人とがコミュニケーションをとるように「はなし言葉」や「書き言葉」)によって指示するところが、従来のプログラマーとの大きな違いになります。

2.プロンプトエンジニアに必要なスキル

① 自然言語処理(NLP)の理解

プロンプトエンジニアは、言語の複雑な構造を理解し、テキストデータを解釈、生成できる能力が求められます。言語の基本的な原則、文法、構文、意味論に精通し、これらを活用してテキストデータを分析します。

これらのスキルによって、プロンプトエンジニアは言語データの処理と理解を高度化し、モデルの精度向上に貢献します。

② プログラミングスキル

プログラミングスキルはアルゴリズムの実装、データ処理、モデルの評価、エラーの解析などにおいて極めて重要なスキルになります。特に、Pythonのようなプログラミング言語に詳しいことは非常に重要です。

なぜなら、Pythonは機械学習やディープラーニングの開発に広く使われており、これらの分野でのプログラムを簡単に書くための便利なツールがたくさん備わっているからです。

③ 機械学習およびディープラーニング

機械学習とディープラーニングは、プロンプトエンジニアが自然言語処理モデルを訓練し、改良するための基盤になるため、これらの分野の基本的な理解が不可欠となります。

項目 説明
機械学習
machine learning

データからパターンを学び、予測モデルを構築するための方法論

ディープラーニング
deep learning

多層のニューラルネットワーク※を使用して学習する、機械学習の一部

※ニューラルネットワーク: 生物の脳の神経細胞(ニューロン)の仕組みに基づいて設計された数学的モデルで、入力層・中間層・出力層で構成されている。

プロンプトエンジニアは、AIモデルを作成する際に、モデルの設計、誤差の計算方法、最適な学習方法の選択、データをどれくらいずつ扱うかなど、さまざまな技術的な知識が必要になります。

また、転移学習やリカレントニューラルネットワーク(RNN)などの特定のモデルアーキテクチャについても深い理解が必要です。

④ データ処理

データ処理スキルは、プロンプトエンジニアにとってとても大事な能力です。なぜなら、データは機械学習モデルを訓練したり、その性能を評価したりする際に、非常に重要な要素だからです。

また、データ処理には、データの中から有用な情報を見つけ出すデータサイエンスの側面も含まれます。データを調べて、何か重要なことを見つけ出す作業や、統計的な手法を使ってデータの中から有益な洞察を得ることもあります。

つまり、データ処理は、データを使って価値ある情報を引き出すプロセスであり、これが機械学習モデルの成功につながります。

⑤ モデル評価とデバッグ

モデルの評価とデバッグは、プロンプトエンジニアにとって非常に重要なスキルです。

モデルをトレーニングした後、その性能を評価することは欠かすことができない作業です。このプロセスでは、評価指標を理解し、モデルの予測と実際の結果を比較するスキルが必要です。つまり、モデルがどれくらい正確に予測するかを評価するわけです。

また、モデルのバグやエラーを見つけて修正するデバッグスキルも不可欠になります。モデルをトレーニングする際、適切な設定やハイパーパラメータを選択し、学習率やバッチサイズなどを調整する能力が求められます。これによって、モデルの性能を向上させることができるようになります。

モデルの評価は、過学習やアンダーフィッティングなどの問題を特定し、モデルが安定して一貫した結果を出力するように確保します。つまり、モデルが訓練データに合わせすぎたり、逆に過度に簡単なモデルになってしまったりすることを防ぐ役割を果たします。

⑥ モデルの適応と改善

モデルの適応と改善スキルは、プロンプトエンジニアが開発した機械学習モデルが実際のタスクにどれだけ効果的に適用できるかを評価し、必要に応じてモデルを改良する能力を指します。

モデルは訓練データと実際の運用環境でのデータとの違いに対応する必要があります。そのため、プロンプトエンジニアはモデルを調整し、新しいデータに順応させる役割を果たします。また、モデルの性能を持続的に向上させるためにリファインメントを行い、新しいデータや要件に合わせてモデルをアップデートします。

モデルの適応には、トランスファーラーニング(転移学習)というテクニックも活用されます。これは、既存のモデルを新しいタスクに適用する方法で、既存の知識を新しいタスクに効率的に適用することができます。

モデルの改善には、ハイパーパラメータの調整、新しいデータの収集、新しい特徴の追加などが含まれます。つまり、モデルの性能を向上させるために、さまざまなアプローチを採用します。これらのスキルを持つことにより、機械学習モデルが実用的で信頼性のあるツールとなり、新しい要件に適応することが可能となります。

⑦ インフラストラクチャーとデプロイメント

プロンプトエンジニアは、モデルのトレーニングだけでなく、それを実際の環境で使えるように展開するスキルも必要です。

これは、モデルを本番環境にデプロイ(導入)することを指します。クラウドプラットフォーム(例: AWS、Azure、Google Cloud)を利用して、モデルを実際の運用環境に設置し、スケーラビリティ(拡張性)とセキュリティを確保します。

デプロイメントには、適切なテクノロジーを選択し、モデルを動かすための基盤を整える作業が含まれます。

例えば、コンテナ化技術(Dockerのようなもの)、サーバーレスコンピューティング(AWS Lambdaなど)、データベース管理(AWS RDSなど)のスキルが必要です。

これらの技術を使って、モデルを本番環境にデプロイし、ユーザーがリアルタイムでモデルを利用できるようにします。

本番環境でのデプロイメントには、システムの可用性(24時間365日利用可能であること)、セキュリティ(データの保護)、負荷分散(多くのユーザーに対応できるようにすること)、モデルのバージョン管理(モデルをアップデートできるようにすること)など、多くの要素が含まれます。

また、モデルの性能を監視し、必要に応じて改善を行うこともプロンプトエンジニアの責務の一部になります。

⑧ 倫理とプライバシー

データとモデルを倫理的に使用することは、とても大切なことです。プロンプトエンジニアは、データを使う際に、不公平な差別や偏見を減らすための規則や原則に従う必要があります。

例えば、機械学習モデルは、訓練データに偏りがあると、それを反映してしまうことがあります。そのため、プロンプトエンジニアは、公平な結果を提供するように努力することが求められます。他にも、個人の情報を収集し、それを守るための法律や規制を守る必要があります。データの安全とプライバシーを守ることは、常に考慮すべきことです。

データを論理的に使用するスキルは、プロジェクトの信頼性を担保し、法的な問題や倫理的な問題を避けるのに役立ちます。さらに、社会的な責任も果たし、AI技術を公正で倫理的なものとして活用するために必要なスキルです。

⑨ コミュニケーション能力

プロンプトエンジニアは、技術的な専門知識だけでなく、非技術者と効果的にコミュニケーションをとるスキルも持つべきです。なぜなら、チーム内でアイデアを共有したり、プロジェクトの進捗を報告したり、顧客や上司とコミュニケーションを取ることが非常に重要だからです。

また、ビジネス要件と技術的な実装を調整し、プロジェクトの成功に向けた方向性を確立するスキルも必要です。プロンプトエンジニアは、自身の専門知識を共有し、他のチームメンバーと協力してプロジェクトを前進させ、利害関係者に対してプロジェクトの価値と成果を伝える役割を果たします。

コミュニケーションは、プロジェクトが円滑に進行し、成功するために欠かせない要素です。技術とビジネスの両方の視点を結びつけ、プロジェクト全体を効果的にリードするために、コミュニケーションスキルは非常に重要です。

3.プロンプトエンジニアとしての注意点

自然言語処理(NLP)は多くの分野に関連しており、心理学、言語学、コンピュータサイエンスなどの専門知識が役立ちます。しかし、NLPを応用する際には、AIの利用に伴う倫理的な問題やプライバシーに配慮するなど、単に技術の知識だけでなく、異なる分野からの情報を組み合わせたアプローチが必要となります。

注意点 詳細
個人情報の取り扱い

ユーザーの個人情報を扱う際には、そのセキュリティとプライバシーの確保が最優先事項です。適切なセキュリティ対策を講じて、不正アクセスからユーザーのデータを守りましょう。また、個人情報の取り扱いに関連する法的規制に厳密に従いましょう。ユーザーの信頼を築くために欠かせないステップです。

データ収集と同意

ユーザーからデータを収集する場合、適切な同意を得ることが不可欠です。ユーザーにデータの収集とその使用目的を明確に説明し、同意を得るプロセスを設けましょう。透明性と信頼性を高め、ユーザーがデータ提供に快く応じる環境を構築します。

機密情報の保護

機密情報を取り扱う場合、その情報のセキュリティを確保することが不可欠です。データの暗号化、アクセス制御、セキュリティポリシーの実施など、適切なセキュリティ対策を講じましょう。機密情報の漏洩を防ぎ、信頼性を維持するための重要な措置です。

エシカルなデータ使用

プロンプトエンジニアはエシカルなデータ使用に注意を払う必要があります。人権侵害や不正な情報取得に関与しないよう努力しましょう。倫理的なガイドラインに従い、偏見を排除し、公平な結果を提供するための努力が求められます。

アクセシビリティ

すべてのユーザーが利用しやすい環境を提供することも大切です。バリアフリーなデザインやアクセシビリティ対策を実施し、障害のあるユーザーや異なるニーズを持つユーザーにもサービスを提供できるようにしましょう。アクセシビリティを考慮することで、多様なユーザーに対応するプロジェクトを実現します。

4.最後に

ChatGPTに代表される生成系AIのブームに伴い、AIを業務に取り込む企業が急激に増え、これからも更に広がることでしょう。ただし、AIをどのように活用すればよいのか、どのようなことに役立てられるかといったことはまだまだ試行錯誤が必要な状況です。

こういった過渡期である現在、プロンプトエンジニアの需要も高まっています。

当社ではITエンジニアが多数在籍しております。AI活用に必要なプログラミングスキルをもったエンジニアの派遣や、AI活用を見越した人材補強などのご要望がございましたら、お気軽にお問合せください。

\かんたん3分で入力完了!/ まずは問い合わせる →

関連リンク

ITエンジニア

OSTechの強み