電気自動車とハイブリッドの違い!? 電動化技術の種類を解説!!

自動車業界は新たな時代を迎え、その中心に立つのが「電動化」です。

これまで我々の日常を支えてきたクルマたちが、環境への配慮や未来のモビリティへの期待から、大きな変革を遂げようとしています。

この記事では、そんな自動車における、電気自動車とハイブリッドの違いや、その他の電動化技術の違いについて解説していきます。

【この記事を読むと分かること】

  • ・自動車業界で電動化が必要な理由
  • ・電動化の種類と特徴
  • ・電池の役割と種類、特徴(メリット・デメリット)
  • ・次世代技術としてのCNFについて

目次

  1. なぜ自動車業界で電動化が必要なのか?
  2. 電動化とは何を指すのか?電動化の様々な種類
    1. ① ハイブリッド(HEV:Hybrid Electric Vehicle)
    2. ② マイルドハイブリッド(MHEV: Mild Hybrid Electric Vehicle)
    3. ③ プラグインハイブリッド(PHEV: Plug-in Hybrid Electric Vehicle)
    4. ④ 電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)
    5. ⑤ 燃料電池(FCV:Fuel Cell Vehicle)
  3. 電動化に欠かせない電池の話
  4. 次世代技術
  5. 最後に

1.なぜ自動車業界で電動化が必要なのか?

自動車(ガソリン車)は二酸化炭素(Co2)や窒素酸化物(NOx)の排出源であり、それらが地球温暖化や大気汚染の主要な原因であると注目されて久しい今日この頃。

世界各国の対応として、多くの国が環境保護と持続可能な社会の構築に取り組んでおり、自動車業界もそれに応える必要があります。

この“自動車業界における環境への配慮と持続可能性の追求”から生まれた技術、それが電動化技術です。

国際的な合意であるパリ協定では、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする必要があるとされています。

これを受け自動車業界でも、2030年までにエコカーの販売比率を大幅に引き上げる計画が策定されています。

では、自動車が目指す電動化とは、一体何でしょうか?

それは、既存のガソリンエンジンだけでなく様々な電動技術を駆使することで、ゼロエミッション(排出ガスゼロ)を目標とし、環境への負荷を減らすこと、さらにエネルギー効率の向上を目指すことを指しています。

現在、規制強化やエコカーに対する補助金制度など、各国が電動車普及を促進する政策を導入し、自動車業界もそれに応える様に切磋琢磨しています。

2.電動化とは何を指すのか?電動化の様々な種類

電動化は、従来エンジンに依存していた部品が、エンジンの動力だけでなく電気などの別のエネルギー源でも駆動できるようにすることを指します。

例えば、エンジンが停止していても機能するように部品を改良することで、自動車の動作を保証することが求められます。

電気自動車は、エンジンを搭載せずにすべての動力を電気で提供するため、“電動化”の代表的な例とされています。

ここで、電動化のバリエーションをご紹介いたします。

① ハイブリッド(HEV:Hybrid Electric Vehicle)

ハイブリッド(HEV:Hybrid Electric Vehicle)

ハイブリッド車は、エンジンと電気モーターを組み合わせた車両で、エンジンのみを搭載した車両よりも燃費を改善することが可能な自動車です。

加速時や低速走行時など、エンジンの出力が必要ない場面では、電気モーターが駆動力を提供することで、エンジンが常に最適な状態で動作でき、燃費を改善することに繋がります。

また、ハイブリッド車はブレーキ時にエネルギーを回生しています。通常のエンジンのみの車ではブレーキを踏んだ際にエネルギーが無駄になることがありますが、ハイブリッド車ではそのエネルギーを電気に変換し、バッテリーに蓄えることができます。

このように、走行中に発生するエネルギーの一部を再利用することができるため、さらに燃費向上に寄与することが可能となっています。

② マイルドハイブリッド(MHEV: Mild Hybrid Electric Vehicle)

マイルドハイブリッド(MHEV: Mild Hybrid Electric Vehicle)

マイルドハイブリッド車は、ハイブリッド車と同様に、エンジンと電気モーターを組み合わせた車両で、エンジンのみを搭載した車両よりも燃費を改善することが可能な自動車です。

ハイブリッド車との違いは電気モーター単独での走行ができず、停車時(アイドリングストップ時)に補機への電力供給用として搭載されている点です。(メーカーによっては発進時のエンジンアシストを行うものもあります。)

これにより、アイドリングストップの時間を延ばすことができ、燃費の改善に繋がります。

通常のハイブリッド車よりもシンプルなシステムでありながら、燃費改善に一定の効果が得られるシステムです。

③ プラグインハイブリッド(PHEV: Plug-in Hybrid Electric Vehicle)

プラグインハイブリッド(PHEV: Plug-in Hybrid Electric Vehicle)

プラグインハイブリッド車は、エンジンと電気モーターを組み合わせた車両ですが、マイルドハイブリッド車とは異なり、モーター単独でも走行が可能な自動車です。

充電可能な大容量の電池を積むことで、エンジンを稼働せずに電気自動車のように電気モーターだけで走行することができます。

短距離の走行ならば電気モーターで、長距離移動時にはエンジンも使用することで、電気自動車よりも走行距離を延ばすことができます。

また、バッテリーが減ったとき(電気自動車では電欠といいます)エンジンが発電機として機能することで、バッテリーを充電することも可能です。

外部からの充電も可能なので、家庭のコンセントから電力を供給できるといった利便性がプラグインハイブリッド車の特長となっています。

④ 電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)

電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)

電気自動車(BEV)は、電動モーターだけで走行するエンジンを搭載していない自動車です。

従来の燃料を必要とする車両と異なり、BEVは外部からの電気エネルギーをバッテリーに充電し、そのエネルギーを電気モーターに送ることで走行します。

この仕組みにより、排気ガスを一切出さず、環境に優しいとして注目されています。ただし、製造時におけるCo2排出や電気の発電過程でのCo2排出など、BEVの全体的なCo2削減に関する課題があります。

具体的には、電気の発電過程における化石燃料の利用による排出量や、電池生産時のエネルギー消費量などが挙げられます。

こうした課題に対して、技術的進歩が重要視され、持続可能なエネルギー源を活用する取り組みが求められています。

⑤ 燃料電池(FCV:Fuel Cell Vehicle)

燃料電池(FCV:Fuel Cell Vehicle)

燃料電池車(FCV)は、電気モーターのみで走行するエンジンを搭載していない自動車です。

電気自動車と異なる点は、水素(H2)を燃料として、水素から電気エネルギーを生成するところになります。

水素と酸素を「FCスタック」というシステムで反応させることで、電気エネルギーと水に変換し、得られた電気エネルギーを走行や搭載しているバッテリーの充電に使用します。

この水素を燃料として発電するシステムから排出されるのは水のみで、非常に環境に優しいシステムとして注目されています。

ただし、水素は可燃性の気体なので、取り扱いには十分な注意が必要であり、自動車に燃料タンクとして搭載するには高度な技術が求められます。

また、水素を使用したシステムが身近に普及しているわけではない事もあり、水素インフラの整備や安全性など、解決しなければならない課題がたくさん存在しています。

3.電動化に欠かせない電池の話

自動車の電動化に欠かせないのがバッテリー(電池)ですが、搭載されるバッテリーは、大きく2つに分類されます。

それは、補機バッテリーと駆動用バッテリーです。

補機バッテリーは12Vバッテリーで、一般的な自動車に搭載されているバッテリーのことです。

一方、ハイブリッドや電気自動車の台頭に伴い開発されたのが駆動用バッテリーです。

この駆動用バッテリーは、大容量で高電圧になっているところが特徴です。

現在の駆動用バッテリーは、主に「ニッケル水素型」と「リチウムイオン型」の2種類が使用されています。

それぞれ特徴が異なりますが、どちらも高効率動作が課題となっており、各社の重要な開発テーマの一つとなっています。

また、電動化された自動車の普及に伴い、バッテリーの生産量を増やすために、各社が世界各地に工場を建設し、製造量を増やす努力も進んでいます。

今後は、省スペースで効率の高い全固体電池も注目されはじめているため、さらに開発競争が激化すると予想されています。

■自動車の駆動用バッテリーの種類

バッテリーの種類 特徴 メリット デメリット
鉛蓄電池
  • ・電極に鉛を用いた古典的なバッテリー
  • ・安価で大容量が可能
  • ・冬は性能が低下しやすい
  • ・価格が安く、長期間の使用に適している
  • ・エンジン始動時や短距離走行時に優れる
  • ・重量が重く、寿命が短い
  • ・自己放電が進みやすく、充電時間が長い
  • ・冬は性能が低下しやすく、寒冷地では使用できない
リチウムイオン電池
  • ・電極にリチウムを用いた最新のバッテリー
  • ・高性能で小型化が可能
  • ・冬でも性能が低下しにくい
  • ・自己放電がほとんどない
  • ・性能が高く、エンジン始動時やや短距離走行時に優れる
  • ・充電時間が短く、寒冷地でも使用できる
  • ・重量は軽量である
  • ・価格が高く、容量は鉛蓄電池よりも小さいことも多い
  • ・発火や爆発の危険性がある
ニッケル水素電池
  • ・電極にニッケルと水素を用いたバッテリー
  • ・ハイブリッド車などに搭載されている
  • ・メモリー効果がある
  • ・価格が安く、エンジン始動時や短距離走行時に優れる
  • ・メモリー効果があるため、充放電を繰り返すと容量が低下する
  • ・金属集電体の劣化やシーリングなどの技術的な課題がある
全固体電池
  • ・電極材料を固体化した新しいバッテリー技術
  • ・安全性や耐久性に優れており、大容量化も可能である
  • ・発火や爆発の危険性は低いとされる
  • ・安全性や耐久性に優れており、長期間の使用に適している
  • ・大容量化も可能であるため、エンジン始動時やや短距離走行時のパワー向上に貢献する可能性がある
  • ・発火や爆発の危険性は低いとされるため、寒冷地でも使用できる可能性がある
  • ・価格はまだ高く、技術的な課題も多い

4.次世代技術

自動車業界は急速に進化しており、新しいパワートレイン技術が次々と登場しています。

自動車の効率性向上が重要視される傾向にありますが、環境への配慮も同時に求められています。

この環境に配慮するというのは、単に電動化をするということではなく、既存のエンジンを使用しながらも環境負荷を低減することも含まれます。

その中でも、注目されているのがCNF(カーボンニュートラルフューエル)です。

CNFは大気中のCo2を原料として使用するため、環境にやさしい燃料として期待されており、近年はレース業界を中心に開発が進んでいます。

近い将来、CNFを使った自動車が街中を走る時代がやってくるかもしれません。

5.最後に

自動運転技術などの先進技術が急速に発展している現代において、技術の革新は10年のスパンですら時代を変える勢いで進んでいます。

自動車が単なる移動手段から「モビリティ」として再定義される中、自動車業界の未来は、環境負荷の低減と革新的な技術によって大きく変わると期待されています。

その先には、新たな持続可能なモビリティの形が見えてくるかもしれません。

今後ますます多種多様な技術を取り込み、高効率かつ環境にやさしく、人にも優しいモビリティが開発されている社会において、競争激化は避けては通れない状況です。

新たな技術の取り込みには、色々な技術分野のエンジニアが必要になると思われます。

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