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ノイズ対策
(EMC対策)

ノイズ対策(EMC対策)

電子機器の安定動作のため、電磁ノイズの抑制および耐性の確保を行う技術

電子機器やシステムが互いに干渉せずに正常に動作し、電磁波に対して適切な耐性を持つための対策を行う技術となります。
製品のライフサイクル管理は重要な課題であり、代替調査だけでなく設計変更や製品の再認証が必要な場合もあります。そのために必要な、代替調査から改版までの設計に幅広く対応する技術となります。

EMCとは

電磁ノイズの発生強度を評価するEMIと、内部への電磁ノイズの侵入に対する耐性を評価するEMSを総称したものです。EMIEMSのそれぞれにノイズの伝搬経路の違いによる試験が存在します。

  • EMI (:Electro Magnetic Interference)

    外部に対して発生するノイズの強度評価/対策

    電磁妨害ノイズ(=エミッション)

    ▶放射エミッション試験

    ▶伝導エミッション試験

  • EMS (:Electro Magnetic Susceptibility)

    外部から侵入するノイズに対する評価/対策

    電磁妨害感受性(=イミュニティ)

    ▶放射イミュニティ試験

    ▶伝導イミュニティ試験

  • 放射エミッション試験

    EMI試験に該当し、主に空間伝導ノイズの放射強度を評価する試験です。
    電子機器から放出される不要な電磁波ノイズのうち、空中を伝搬してほかの電子機器や無線設備に影響を与えるものを放射エミッションと呼びます。
    測定対象の電子機器から放射された電磁ノイズを数m~数十m離れた位置に設置したアンテナにより受信することで、ノイズの強度測定を行う試験です。

    測定周波数帯=30MHz ~ 1GHz(規格によっては1GHz以上も測定することがある)

  • 伝導エミッション試験

    EMI試験に該当し、主に導体伝導ノイズの発生強度を評価する試験です。
    電子機器から放出される不要な電磁波ノイズのうち、電源線や信号線等のケーブルやプリント基板の回路パターン、またはグランドパターン等を通じて伝わるノイズのことを伝導エミッションと呼びます。
    測定は設置された同一面上に電子機器と雑音電圧測定用回路網を配置して実施します。

    測定周波数帯=150 kHz ~ 30 MHz(規格によっては9kHz ~ 30MHz、526.5kHz ~ 30MHz)

    【雑音電圧測定用回路網】

    疑似電源回路網(電源線に重畳されるノイズを測定する場合に使用)
    AMN:Artificial Mains Network(CISPR規格の表記)
    別名)LISN:Line Impedance Stabilization Network(FCC規格の表記)

    非対称疑似回路網(通信線に重畳されるノイズを測定する場合に使用)
    AAN:Asymmetric Artificial Network(CISPR規格の表記)
    別名)ISN:Impedance Stabilization Network(FCC規格の表記)

    ※CISPR規格=国際規格、FCC規格=米国規格

  • 放射イミュニティ試験

    EMS試験に該当し、主に空間伝導ノイズに対する耐性を評価する試験です。
    対象の電子機器が他の電子機器(無線機器や無線設備)から発射された無線電波に対して、どれだけ耐性があるのかを評価する試験です。
    外部からの電波(ノイズ)が遮断されている電波暗室やTEMセル内でノイズに見立てた疑似電波をアンテナから対象の電子機器に放射し、影響を評価します。

    測定周波数帯域=80MHz ~ 6GHz

    想定される無線機器の例
    ・ラジオ/TV放送
    ・業務用無線
    ・アマチュア無線
    ・携帯電話/スマートフォン
    ・Bluetooth
    ・無線LAN/無線アクセスポイント

  • 伝導イミュニティ試験

    EMS試験に該当し、主に導体伝導ノイズに対する耐性を評価する試験です。
    周辺の電子機器(無線機器や無線設備)から測定対象の電子機器に向かって、電源線や信号線から伝搬してくるノイズに対して、どれだけ耐性があるのかを評価する試験です。
    外部からの電波(ノイズ)が遮断されている電波暗室やシールドルーム内で試験を行います。

    測定周波数帯域=150kHz ~ 80(230)MHz

    想定される無線機器は放射イミュニティ試験と同様であるが、電源線や信号線を伝搬するノイズを想定しているため、放射イミュニティ試験よりも低周波の試験となっています。

  • 自家中毒ノイズ

    自家中毒とは、電子機器自体が発生させるノイズが内部に戻る現象です。電源回路やLSIなどから発生したノイズが他の回路や信号パスに影響を与え、機器の性能や信頼性に問題を引き起こす可能性があります。
    特に通信機能を有するIoT機器等では回路の高機能化、小型化がさらに進み電源回路やLSIと無線通信部の距離が十分に取れなくなっています。そのため、電源回路やLSIから発生したノイズが無線受信回路に伝搬してしまい受信感度を下げてしまう等の問題を引き起こすことがよく発生するため、評価と対策を行います。

  • 静電気放電イミュニティ(ESD)試験

    静電気に帯電した人やモノと電子機器との間に発生する静電気放電に対する耐性を評価する試験です。
    一般的にESD試験と呼ばれ、3種類の放電モデルによって試験を行います。

    ・HBM:Human Body Model
    帯電した人体から電子機器に放電するモデルで最も一般的なモデル

    ・MM:Machine Model
    生産現場等で帯電した製造設備や保管場所等が原因で発生する放電モデル

    ・CDM:Charged Device Model
    プラスチック等の台や袋の上に置かれた対象機器が滑り落ちたりするときに発生するモデル