派遣社員の平均年収とは?給料が高い職種や、収入アップを目指す方法について
2024.7.25
派遣社員は正社員と比べて柔軟に働けるうえ、多彩な経験が積める雇用形態としてメリットが多いため、近年ますます注目を集めています。
派遣社員として働いている方や、派遣社員としての働き方に興味をもっている方は、年収や給料面が正社員とどう違うのか気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、派遣社員の平均年収や給料アップにつながる方法などを解説します。
【この記事を読むと分かること】
- ・派遣社員の平均年収と平均月収
- ・派遣社員と正社員の給料の違い
- ・派遣社員に給料が支払われる仕組み
- ・派遣社員が収入を上げる5つの方法
目次
派遣社員の平均年収・平均月収
派遣社員の平均年収は約391万円で、平均月収は約32万円です。派遣社員の平均年収は、厚生労働省が公開しているデータに基づいて、以下の計算式で求めることができます。
1日(8時間換算)の賃金×年間稼働日数=派遣社員の平均年収
厚生労働省の調査によると、派遣社員の1日(8時間換算)の平均賃金は15,968円です(※1)。1年間に休日が120日あるとして年間稼働日数は245日と仮定します。これらの数字を上記の計算式にあてはめると以下の金額になります。
15,968円(8時間換算)×245日=391万2,160円
そのため、派遣社員の平均年収は391万2,160円程度と算出することができます。
1日の平均賃金は8時間労働で計算しているため、派遣社員の平均時給は約1,996円です。
なお派遣社員の平均年収は毎年増加しています。令和2年からの平均年収や対前年比の増加率を下表にまとめました。
年度 | 平均年収 | 平均賃金 (8時間換算) |
増加率 (対前年比) |
---|---|---|---|
令和2年 | 約382万円(※2) | 15,590円 | 2.3% |
令和3年 | 約385万円(※3) | 15,698円 | 0.7% |
令和4年 | 約391万円(※1) | 15,968円 | 1.7% |
注意として、厚生労働省の賃金の資料には、医師や専門職業従事者、事務職など、さまざまな職種のスタッフの賃金が含まれています。年収は業種と職種で差が大きく、東京都や北海道、大阪府など地域でも異なります。
これらの平均年収は、医療関係や製造業、サービス業など、さまざな職種の年収を平均化したものと考えると良いでしょう。
※1.出典:厚生労働省「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報、一部訂正)」
平均年収が高い派遣の職種とは?
平均年収が高い派遣の職種は、医師や法務従事者、専門的なスキルを持った技術者です。厚生労働省の調査によると、これらの職種はほかの職種と比べて1日当たりの平均賃金が高い傾向にありました。
同調査を参考に、派遣社員のなかで1日あたりの平均賃金が2万円以上ある職種を一覧にまとめました。
職種 | 1日あたりの平均賃金 |
---|---|
1. 医師 | 75,608円 |
2. 歯科医師、獣医師 | 27,103円 |
3. 法務従事者 | 23,615円 |
4. 薬剤師 | 23,426円 |
5. 法人・団体管理職員 | 21,816円 |
6. 建築・土木・測量技術者 | 20,772円 |
7. 経営・金融・保険専門職業従事者 | 20,236円 |
8. 情報処理・通信技術者 | 20,120円 |
上記の8つの職種は、派遣社員の平均賃金と平均年収を大きく上回ります。最も平均賃金が高いのは医師です。医師や歯科医師は、専門知識と高度な技術に加え、医師にしかできない業務があるため平均賃金が高い状況です。
建築・土木・測量技術者や情報処理・通信技術者は、専門的な技術を保有しているうえ労働市場からの需要が高いため、賃金が高くなる傾向です。令和4年の建築・土木・測量技術者の賃金の伸び率は2.16%で、平均の1.7%を上回りました。
正社員との比較
正社員の平均年収と比較した場合、派遣社員の平均年収とはどのように異なるのでしょうか?
令和4年度の国税庁の調査によると、全国の正社員の平均年収は、523万円です(※4)。派遣社員の平均年収は約391万円のため、正社員のほうが平均年収は高いといえます。ただし、正社員の年収は年齢によって大きく異なります。
一般的に、正社員は入社して年数の短い20代は年収が低く、40、50代と年齢を重ねるにつれて高くなっていく傾向にあります。現在の自身の年収と正社員の平均年収を比較する際は、年齢層に注意しましょう。
また、厚生労働省の調査によると、正社員の年代別の平均賃金は下表の通りです(※5)。
年齢 | 平均賃金 |
---|---|
~19歳 | 18万5,000円 |
20~24歳 | 22万1,000円 |
25~29歳 | 25万5,900円 |
30~34歳 | 28万8,400円 |
35~39歳 | 32万3,500円 |
40~44歳 | 34万7,500円 |
45~49歳 | 36万6,300円 |
正社員の40代と比べて、正社員の20代は平均賃金が10万円ほど低いです。年収は、賃金にボーナスなどが加算されて決まります。会社の業績や規模によってはボーナスがあまり支給されないケースもあります。
※4.出典:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
※5.出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」
正社員の平均年収が高い理由
正社員の平均年収が派遣社員より高くなりやすい理由には、以下のようなものがあります。
- 派遣社員より正社員のほうが、責任も増しやすい
- 正社員のほうが、企業文化や方針に従う必要がある
- 正社員は長時間労働や残業が発生しやすい
- 正社員は転勤がありえる
- 正社員は希望しない部署に配属される可能性もある
正社員は長期雇用が前提のため、企業への帰属意識が求められやすく、何かトラブルが起きた場合に責任を取らなくてはならないケースも多いです。
また、正社員は残業が発生することも決してめずらしくありません。実際に休日出勤が必要な会社もあるなど、これらの労働環境は私生活にも影響しやすいです。
一方、派遣社員は正社員より残業が少ない傾向にあり、残業が発生した場合、時給の25%、割増した給料が支払われます。派遣社員は正社員よりも年収が低い傾向にありますが、ライフワークバランスを整えたい方には向いていると言えるでしょう。
派遣社員の給料が支払われる仕組み
派遣社員の給料の支払いは派遣社員と派遣会社、派遣先企業の三者間で成立しています。派遣社員は派遣会社から給料を受け取り、派遣会社は派遣先企業から派遣料金を受け取るという仕組みです。
たとえばエンジニアの派遣社員Aさんと、派遣会社B社、派遣先企業C社があったとします。
Aさんは派遣会社B社と雇用契約を結び、B社から給料をもらいます。Aさんの給料の金額や「週払い・月払い」などの支払い頻度は、B社との雇用契約で定めます。AさんはB社の社会保険に加入でき、B社の福利厚生も利用可能です。
派遣会社B社は派遣先企業C社と派遣契約を結びます。Aさんを雇用して派遣している対価としてC社から派遣料金を受け取ります。C社から受けとった派遣料金から、社会保険料や経費をひいた給料をAさんに支払うという流れです。
派遣先企業C社は派遣社員の採用広告費や社会保険料の負担がありません。そのため派遣会社を活用する企業が増加しています。
派遣労働者として働く理由
派遣社員の給料は正社員より低い傾向があることが分かりましたが派遣社員を選ぶ人がいるのはなぜでしょうか。厚生労働省の調査によると派遣労働者として働く理由は以下が挙げられています(※6)。
理由(複数回答) | 男性 | 女性 | 総数 |
---|---|---|---|
自分の都合のよい時間に働きたいから | 23.0% | 37.1% | 30.8% |
正規の職員・従業員の仕事がないから | 31.0% | 29.8% | 30.4% |
家計の補助・学費等を得たいから | 8.0% | 27.2% | 18.6% |
専門的な技能等をいかせるから | 23.3% | 6.2% | 13.8% |
家事・育児・介護等と両立しやすいから | 3.9% | 18.0% | 11.7% |
※6.出典:厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」
最も多かった理由は自分の都合のいい時間に合わせて働きたいというものでした。派遣社員は希望条件にあった勤務時間や曜日の派遣先企業を選択できます。正社員より残業が少ない傾向があるため仕事と趣味や育児、勉強と両立しやすいことが魅力でしょう。
男性の中には、自分の専門技術を活かせるという理由で派遣社員を選ぶ人が多くいます。派遣社員のメリットの一つは、専門的なスキルを活かせる点です。これは、数年ごとに職種が変わる可能性のある正社員の総合職とは異なり、専門分野に集中できる働き方ができるためです。
派遣労働者として働く理由として挙げられていた内容から、派遣社員は仕事と私生活のバランスを大切にしていることが分かります。また、派遣社員という働き方を選ぶことで、特定の技能と経験を活かしたいと考えている方も多いです。
そのため、多くの派遣社員はワークライフバランスを重視しつつ、安定性やキャリアアップにも関心が高いと考えられます。
収入を上げるための方法とは?
派遣社員の中には、ワークライフバランスを大切にしながら「スキルアップを目指したい」と考えている方も多い傾向があります。ここでは、ワークライフバランスを整えながら収入アップにつなげる5つの方法を具体的に解説します。
1、資格を取得する
派遣先企業で活かせる資格を取得している場合、高収入につながりやすくなります。資格があることで業務に必要な知識や熱意があることの証明になるからです。ITエンジニアの収入アップにつなげやすい資格の例を紹介します。
資格の種類 | 資格 |
---|---|
国家資格 |
● 基本情報技術者 ● 応用情報技術者試験 ● 情報処理推進機構、など |
ベンダー資格 |
● ORACLE MASTER Gold DBA ● CCNP Enterprise ● CCNA、など |
ベンダーニュートラル資格 |
● C言語プログラミング能力認定試験 ● LPIC ● PMP、など |
難易度の高い資格や希少性の高い資格を保有している場合、高単価案件への応募資格になる可能性もあります。
2、スキルを上げる
収入を上げるには、実務で活かせるスキルの向上が必要です。派遣先企業の業務内容を理解し、必要なスキルを磨くことで収入アップにつながります。スキルを上げる方法の例はこちらです。
- 実務にしっかり取り組みスキルを磨く
- 先輩や社員、上司から技術を学ぶ
- 身につけたいスキルの情報をWebや書籍から収集する
- スクールに通ってスキルを上げる
スキルアップには、独学以外にスキルの高い先輩やスクールで学ぶ方法があります。専門性のあるスキルを磨くことで、リーダーやマネジメントのポジションを任せてもらえる可能性もあります。
3、キャリアアップを目指す
キャリアアップすることで、収入も上がる場合がほとんどです。派遣会社によっては、キャリアアップするための支援をしている会社もあるので、一例を紹介します。
- グループ企業のITスクールで、実践的な研修を実施
- ビジネスマナー研修
- ビジネス英語
- コミュニケーション講座
- キャリアコンサルティング
派遣会社のスキルアップ支援には、プログラミングやCADなど特定分野に特化した講座から、未経験者向けにビジネスマナーなどが学べる研修まで幅広くあります。
派遣会社の支援を活かしてスキルを身につけて高収入の職種に転職することも可能です。
4、派遣会社を見直す
派遣会社によって保有している求人や給与水準が異なります。派遣会社を探す際は、こちらのチェックポイントを確認しましょう。
- 1.希望職種の求人数が多いか
- 2.給与水準が高いか
- 3.福利厚生がいいか
- 4.スキルアップの支援制度があるか
- 5.人事評価制度は整っているか
派遣会社によって、福利厚生やキャリアアップ支援の充実度なども違います。クリエイティブ職向けの会社や販売職向け、軽作業向けなどさまざまです。
自分のスキルが活かせる求人が多く、支援制度の充実している派遣会社を選ぶことで、収入アップにつなげやすくなります。
5、登録型派遣ではなく、無期雇用派遣を選択する
派遣は登録型派遣のほかに無期雇用派遣があります。特徴は下表のとおりです。
派遣の種類 | 特徴 |
---|---|
登録型派遣 |
● 派遣会社にスタッフとして登録 ● 派遣先企業に就業している間だけ派遣会社と雇用契約を結ぶ ● 派遣期間は1~6カ月で更新を重ねることが多く、最長3年まで |
無期雇用派遣 |
● 契約期間の定めがない ● 派遣先企業での就業期間が満了しても派遣会社との雇用契約は継続 ● 派遣先企業で就業していない期間も給料は支払われる |
一般的に無期雇用派遣のほうが年収も高くなりやすい傾向にあります。無期雇用派遣は派遣先企業が見つからない待機期間も基本給や福利厚生が保証されています。
一方で登録型派遣は、契約期間や派遣先企業の仕事内容で年収が変動しやすいです。収入を上げたい方や安定的な働き方を目指す場合、無期雇用派遣を選択することをおすすめします。
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若手エンジニアに選ばれていて全体の約5割は20代のエンジニアです。30代を合わせると約7割に達します。平均年齢は33歳と若く25~35歳でリーダーやマネージャーに昇進するエンジニアが増えています。
OSTechの特徴は、技術者などの給料アップのために取り組みを行っていることです。たとえば、保有資格やスキルに応じて給与を決める人事評価制度を導入しています。
その他、入社後も給料やキャリアの向上に必要な資格やスキルを身につけるために、資格支援制度や各種研修を実施しています。また、エンジニアが働きやすい職場の環境づくりに努めていて、女性や多様なバックグラウンドをもっている方も働きやすい環境です。
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