【AIに打ち勝つ!】これからの時代、企業が求める人材とは?

近い将来ほとんどの職業はAIに代替されるという話を最近よく聞きますよね。
特にChatGPTを始めとした生成AIの登場によって、それが遠い未来ではなく目前にせまっていると感じた方も多いと思います。
そんな中で企業が人を採用するときに求める人材とは一体どんな人材でしょうか。
2022年5月31日に経済産業省が公表した「未来人材ビジョン」を参考に、これからの時代企業が求める人材を深掘りしていきます。

【この記事を読むと分かること】

  • ・大手企業が求める人材像
  • ・過去と未来の求められるスキルの変化
  • ・過去と未来の労働需要(業界・職種)の変化
  • ・企業に求められる人材になる方法

目次

  1. 大企業の社長や役員が考える「求める人材像」とは?
  2. 2015年と2050年の仕事に必要な能力トップ10の変化
  3. 高成長を遂げた未来の労働需要は?
  4. これからの時代企業が求める人材になるには?

1. 大企業の社長や役員が考える「求める人材像」とは?

以下は未来人材会議にて、大企業の社長や役員を務める方々が考える ”これからの時代求める人材” をヒアリングした結果です。
(自動車、電機、産業機械、エネルギー、小売、物流、建設、金融などの業種が対象)
  • ① 常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力
  • ② 夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢
  • ③ グローバルな社会課題を解決する意欲
  • ④ 多様性を受容し他者と協働する能力
(参考:経済産業省「未来人材ビジョン」https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
これらから、イノベーション・専門性・グローバル・ダイバーシティといった要素が、これからの時代に求められる人材の鍵となりそうですね。
最近、比較的よく耳にする言葉も多いのではないでしょうか。
では、こういった人材が求められるようになった背景を見ていきましょう。

2. 2015年と2050年の仕事に必要な能力トップ10の変化

こちらでは、人が仕事に使う能力の全体像(全56項目)の中から、 需要の多い能力順に試算した2015年と2050年に求められる能力のランキングトップ10を見ていきましょう。
(2050年のランキングはデジタル化や脱炭素化の流れを考慮した能力の需要変化を想定して試算したものです。)
56の能力等に対する需要 2015年 注意力・ミスがないこと1.14 責任感・まじめ1.13 信頼感・誠実さ1.12 基本機能(読み、書き、計算、等)1.11 スピード1.10 柔軟性1.10 社会常識・マナー1.10 粘り強さ1.09 基盤スキル※1.09 意欲積極性1.09… ※基盤スキル:広く様々なことを、正確に、早くできるスキル → 2050年 問題発見力1.52 的確な予測1.25 革新性※1.19 的確な決定1.12 情報収集1.11 客観視1.11 コンピュータースキル1.09 言語スキル:口頭1.08 科学・技術1.07 柔軟性1.07 ※革新性:新たなモノ、サービス、方法等を作り出す能力 (注)各職種で求められるスキル・能力の需要度を表す係数は、56項目の平均が1.0、標準偏差が0.1になるように調整している。(出所)2015年は労働政策研究・研究機構「職務構造に関する研究Ⅱ」、2050年は同研究に加えて、World Economic Forrum "The future of jobs report 2020", Hasan Bakhshi et al., "The future of skills: Employment in 2030"等を基に、経済産業省が能力等の需要の伸びを計測。
(出典:経済産業省「未来人材ビジョン」https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
上記で、2015年と2050年のトップ10内に、「柔軟性」しか同じ項目がないことに気が付かれましたでしょうか。
時代とともに、こんなにも求められている能力が変わってしまうことは驚きです。
30代以上の方は、2015年に求められていた能力に共感した方も多いのではないでしょうか。
時代の変化に対応するには、価値観のアップデートも必要になりそうです。

3. 高成長を遂げた未来の労働需要は?

未来人材会議では、『仮に日本において現在目指すデジタル化・脱炭素化のシナリオ通りの高成長を遂げることが出来た場合、 2020年と2050年では労働需要のはっきりとした変化が推計される』としています。
求められる能力の上位である「問題発見力」や「的確な予測」を持つエンジニア等の職種の需要が増加し、 事務・販売従事者の需要が大幅に減少する傾向になっています。
製造業 エンジニア(IT技術者、製品開発者等)2020 102 41%↑ 2050 144 事務・販売従事者 236 39%↓ 144(万人) 卸売・小売業 2020 42 14%↑ 2050 48 753 30%↓ 524(万人) (注)労働需要の増減と、各産業・職種の付加価値の増減は連動しない点や、変化幅が大きいエンジニアと事務・販売従事者のみを取り出しており全職種の構成でない点に留意。(出所)労働政策研究・研修機構「労働力需要の推計・労働力需給モデル(2018年度版)」、「職務構造に関する研究Ⅱ」(2015年)、World Economic Forrum "The future of jobs report 2020", Hasan Bakhshi et al., "The future of skills: Employment in 2030"、内閣府「産業界と教育機関の人材の質的・量的需給のマッチング状況調査」(2019年)、文部科学省 科学技術・学術政策研究所「第11回科学技術予測調査ST Foresight 2019」等を基に経済産業省が推計。
(出典:経済産業省「未来人材ビジョン」https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
また、AIやロボットで代替しやすい職種では雇用が減少しますが、 代替しづらい職種や、新たな技術開発を担う職種では雇用が増加するとしています。
主な「職種」ごとの、必要となる労働者数の相対的変化(高成長シナリオ)全労働者数に占める各職種の割合の変化率(2020年→2050年) 生産工程従事者23% 専門的・技術的職業従事者19% サービス職業従事者14% 輸送・機械運転従事者14% 販売従事者-13% 事務従事者-32% 建設・採掘従事者-35% 農林漁業従事者-53%(注)労働需要の増減と、各産業・職種の付加価値の増減は連動しない点に留意。(出所)労働政策研究・研究機構「労働力需要の推計・労働力需給モデル(2018年度版)」、「職務構造に関する研究Ⅱ」(2015年)、World Economic Forrum "The future of jobs report 2020", Hasan Bakhshi et al., "The future of skills: Employment in 2030"内閣府「産業界と教育機関の人材の質的・量的需給マッチング状況調査」(2019年)、文部科学省 科学技術・学術政策研究所「第11回科学技術予測調査ST Foresight 2019」等を基に経済産業省が推計。
(出典:経済産業省「未来人材ビジョン」https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
各産業の雇用の増減にも大きな影響が表れると考えられています。
主な「産業」ごとの、必要となる労働者数の相対的変化(高成長シナリオ)全労働者数に占める各職種の割合の変化率(2020年→2050年) 医療・福祉32% 教育・学習支援21% 製造業20% 運輸業10% 情報通信業7% 金融保険・不動産業3% 飲食店・宿泊業-13% 卸売・小売業-15% 生活関連サービス(洗濯・理容・美容・浴場業等)-28% 公務・複合サービス-30% 鉱業・建設業-43% 農林水産業-50% (注)労働需要の増減と、各産業・職種の付加価値の増減は連動しない点に留意。(出所)労働政策研究・研究機構「労働力需要の推計・労働力需給モデル(2018年度版)」、「職務構造に関する研究Ⅱ」(2015年)、World Economic Forrum "The future of jobs report 2020", Hasan Bakhshi et al., "The future of skills: Employment in 2030"内閣府「産業界と教育機関の人材の質的・量的需給マッチング状況調査」(2019年)、文部科学省 科学技術・学術政策研究所「第11回科学技術予測調査ST Foresight 2019」等を基に経済産業省が推計。
(出典:経済産業省「未来人材ビジョン」https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
技術革新により事務・販売従事者の労働需要が大幅に減少する一方、医療・教育・製造業など専門知識や技術が要求される労働需要が増加することが予想されています。
こういった労働需要の変化に私達自身が対応していくためには、時代に合わせてキャリアチェンジをしていくことが必要だと考えられます。
ただ、異業種から医療や教育分野にキャリアチェンジするには、専門機関で教育を受ける必要があり時間や費用の面から少々ハードルが高めです。
そのため、現実的には製造業や情報通信業に関わるエンジニアなどが選択肢として考えられるのではないでしょうか。
ただし、エンジニアでも単純な作業領域はAIに代替される可能性がありますので、 先にご紹介した人材像と専門的スキルを、バランスよく磨いていくことが重要です。

4. これからの時代企業が求める人材になるには?

① 先を見通す力、課題を見つける力をつける

日本・世界の社会情勢にアンテナを張り、今後進んでいきそうな方向性、 社会の大きな流れを常にキャッチアップしていきましょう。
その際に、“この様な背景から恐らく今後はこうなっていくのではないか”と、理論で先を予測することが重要です。
予測した将来に向けて現在課題となっていることはないか探し、その課題を自分が解決することで他者に貢献出来れば、それが仕事になります。

② 専門性を身につける

指示を受ければある程度誰にでも出来る仕事はAIに代替されやすいため、 エンジニアの様に何からの専門性を身に付けることで自分のポジションを確立しましょう。
どの様な専門性を身に付けるか、または方向転換するかを決定するには先を見通す力が必要です。

③ 革新的なアイデアを生み出し実行する

自分の知っている分野やこれまでのやり方に固執せず、 新しい分野に飛び込むことや、新しいやり方をとりあえずやってみる柔軟性をもちましょう。
まずは自分が実行に移し、その姿を見た周囲の人を巻き込んで伴走者になってもらう人間力も必要です。
その結果として、見つけた課題を解決する力をつけることが出来ます。

④ グローバル、ダイバーシティを受け入れる

現在の日本の経済状況を考えると、今後は海外の仕事を取っていくことが生き残り戦略の一つとなります。
その波に乗り遅れない様グローバルな視点を持つことや様々な文化を理解すること、語学を学ぶことも良いでしょう。
またダイバーシティという観点では、グローバルのみならず日本人同士でも個々の人間にそれぞれの背景が存在することを理解することが必要です。
自分の常識やルールを押し付けずにフラットな気持ちで接することで、誰もが気持ちよく働ける環境を作ることができ、また新たな視点を得ることが出来るでしょう。
以上、これからの時代企業が求める人材の考察でした。
これからの時代を生き抜く戦略として、参考にしていただけますと幸いです。

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