派遣社員で働くことに興味を持っている場合「退職金制度がないと将来が不安」と悩む方がいるのではないでしょうか。
実は派遣社員でも、登録する派遣会社によっては退職金がもらえる可能性があります。もし、もらえない派遣会社に登録するのであれば、将来に不安がないように正しく備えをしておきたいものです。
この記事では、派遣社員の退職金制度について、退職金をもらう方法やなくても安心して働く方法などを解説します。派遣の働き方に興味が湧いている方や将来の不安を解消しておきたい方は、ぜひ情報収集にお役立てください。
【この記事を読むと分かること】
- ・派遣社員が受け取れる退職金の種類
- ・派遣社員の退職金の計算方法
- ・退職金がなくても安心して働く方法
目次
派遣社員は退職金をもらえるの?
正社員と比べて、派遣社員は手当や福利厚生が手薄な印象を持っている方が多いかもしれません。それゆえに「派遣社員は退職金がもらえるかどうか」気になっている方もいるでしょう。
結論から言うと、派遣社員でも退職金がもらえる場合があります。2020年から始動した同一労働同一賃金の制度により、正社員と同様の待遇を派遣社員に提供するための努力義務が課されています。ただし、退職金については必須事項ではありません。「退職後にお金に対して不安を抱えたくない」と強く思う方にとって、退職金制度の有無は、派遣会社への登録前に確認しておきたいポイントといえるでしょう。
派遣社員が退職金をもらえない理由とその背景
実は、大手派遣会社でもあまり導入されていない退職金制度。派遣会社に登録する前に、なぜ退職金制度が導入されていないのか理解しておくと良いでしょう。
ここからは派遣社員が退職金をもらえないことが多い理由やその背景について、以下の3点から解説します。
- 派遣社員は労働期間の定めがある
- 派遣社員は高時給、かつ退職金を含めた報酬を先払いされている場合がある
- 退職金制度が時代に合わなくなってきている
1点ずつ確認していきましょう。
派遣社員は労働期間の定めがある
派遣社員は同一部署での最長の雇用期間が3年であり、もともと長く働く予定のない方がいるかもしれません。そういった短期間での働き方に、退職金制度が合っていないといえるのです。
退職金の支給は正社員であっても義務化されておらず、長く働く方を引き止める制度として導入されていると言われています。つまり、もともと長く働く予定のない派遣社員には、退職金制度がマッチしていないとも捉えられます。
退職金は各企業が自由に導入する制度で、支給の有無や支給金額などは明確に定められていません。つまり派遣会社が退職金制度を導入する義務はないとも言えます。
派遣社員は高時給により先払いを受けている
派遣社員は時給が高い傾向にあり、働き方によっては月収が正社員よりも高くなります。派遣社員の時給が高い理由は、ボーナスや退職金が時給に含まれているからだと言われています。それゆえに一括でボーナスや退職金を支給する制度がないことが多いのです。
退職金制度が時代に合わなくなってきている
派遣社員に限らず、そもそも退職金制度が時代の働き方に合わなくなってきていることが理由にあげられます。
一昔前は終身雇用が当たり前の社会であったため、退職金制度を設けることにより優秀な社員の退職を引き止めていました。
しかし、働き方が多様化している昨今、キャリアアップなどにより転職が当然の時代となりました。退職を引き止める効果として、退職金制度が合わなくなっているのです。
派遣社員が退職金をもらうための抜け道と活用できる制度
派遣社員向けの退職金制度は、以下の4種類があります。
- 派遣会社の退職金制度
- 派遣先企業の退職金制度
- 中小企業退職金共済制度
- 退職金前払い制度
ここからは1種類ずつ取り上げて詳しく確認していきましょう。
派遣会社の退職金制度
派遣会社の退職金制度は正社員と同様に、就業期間を終えて退職する際に、お金が支給される仕組みとなっています。
派遣会社と交わした雇用契約書や就業規則に記載されている場合は、支払いが義務化されていることになります。ただこの場合、勤続年数が3年以上でないと、支払われないケースが一般的です。
派遣会社が退職金制度以外に「確定拠出年金」を完備している場合があります。確定拠出年金は給与から引き落とされて年金を運用する制度で、所得税や住民税がかからない、運用益が非課税になるなど数多くのメリットがあります。
退職金とは異なりますが老後の蓄えになるでしょう。
派遣先企業の退職金制度
派遣社員が実際に働いている派遣先企業に、退職金を支払ってもらうケースがあります。
こちらも正社員と同様に、退職するタイミングでお金が支給される流れとなっています。
メリットは派遣先企業が大企業である場合、想定以上の退職金が受け取れる可能性があります。対象の有無を知るためには、雇用契約書を確認したり担当者にヒアリングしたりする必要があります。
中小企業退職金共済制度
中小企業退職金共済制度は、国が支援する退職金制度で、中小企業の派遣会社であれば導入されている可能性があります。派遣会社が中小企業退職金共済事業本部に対して、毎月掛金を納付する仕組みです。
退職金は派遣会社ではなく国が管理しているため、万が一派遣会社が倒産しても退職金を受け取ることができます。
また転職した場合でも、条件によっては掛金を持ち越しできる可能性があります。
退職金前払い制度
退職金前払い制度とは、時給に6%を上乗せして退職金を前払いする仕組みを指しています。
例えば時給が1,400円の方には84円が追加されて、実際には時給1,484円で働くことになります。
退職金を毎月分割して受け取っていることになるので、退職後にまとまった金額を受け取ることはできません。ただ受け取るための就業期間の条件がなく、複雑な手続きを行う必要もありません。
派遣社員としての退職金の計算方法と実例
ここからは、派遣社員の退職金の計算方法について実例を交えて紹介していきます。退職金の計算方法は企業によって異なります。ここでは「勤続年数」と「給与額」の違いによって、退職金の金額がどれだけ変わるのか具体的にイメージしていきましょう。
勤続年数
派遣会社や派遣先企業の提供する退職金制度には「基本給×支給率×退職事由係数」のような計算式があり、勤続年数によって退職金の額が変わってきます。
支給率
計算式にある「支給率」は勤続年数により変動します。
支給率は勤続年数に基づき段階的に設定されており、企業ごとに異なる場合があります。例えば、以下のようなモデルが考えられます。
- 勤続1~3年:支給率1
- 勤続4~6年:支給率2
- 勤続7~9年:支給率4
- 勤続10年以上:支給率8
支給率の詳細については、雇用契約や退職金規定を確認することをおすすめします。
退職事由係数
「退職事由係数」は退職理由によって異なり、例えば自己都合だと0.8、会社都合だと1.0といった数字が設定されます。
今回の場合、基本給が20万円で勤続年数が4年であれば「20万円×2(支給率)×1.0(会社都合)=40万円」となります。また勤続年数が10年だと「20万円×8(支給率)×1.0(会社都合)=160万円」です。勤続年数が増える程、退職金の金額は大きくなります。
そして中小企業退職金共済制度の場合「掛金×勤続月数」で計算されます。例えば月々1万円の掛金で、勤続3年(36か月)の場合「1万円×36か月=36万円」となります。金額によっては、利息が付くことがあります。
給与額
続いて、給与額によって変わる退職金のシミュレーションをしていきましょう。退職金の計算方法には「基本給×支給率」のようなシンプルな計算方法が用いられるケースもあります。ここでいう支給率は勤続年数での計算と同様に、退職理由が自己都合だと0.8、会社都合だと1.0といった数字が設定されます。
今回の場合、基本給が20万円の場合「20万円×0.8(自己都合)=16万円」、基本給が25万円の場合「25万円×0.8(自己都合)=20万円」となります。
一方で中小企業退職金共済制度は、派遣会社が個人に掛けている金額によって退職金が決まるため、給与額による退職金の差はありません。
退職金制度がない企業でも安心して働く方法
もし、派遣社員で退職金制度がない場合、個人で将来に備えた準備をしておけば心配ありません。
ここからは退職金制度がない企業でも安心して働く方法を、次の3点から解説します。
- 自己資金の積み立て
- 積み立て型保険の活用
- 転職時の交渉
自分に実践できることがあるのか確認していきましょう。
自己資金の積み立て
派遣社員で退職金制度がない場合は、自己資金を貯蓄する選択肢があります。例えば定期積金を契約すれば、給料口座から毎月一定額が自動で引き落とされるため、貯蓄が苦手な方でも将来の蓄えをすることができるでしょう。
他にも、利益が非課税になるNISAであれば、積み立てた資金だけでなく利益を得られる可能性があります。毎月決まった額を引き落として投資できる上に、金融知識の習得にも役立つので、株初心者の方にもおすすめです。ただNISAはあくまで投資になるので、元本が保証されていないことを把握しておきましょう。
積み立て型保険の活用
退職金制度がない派遣会社であっても、積み立て型の保険に加入すれば将来の蓄えになるでしょう。例えば個人年金に加入すると、月々一定額が引き落とされて将来の年金に加算されます。社会保険制度だけで貯蓄になるのか不安を抱える方におすすめです。
また他にも、積み立て型の生命保険が多くの保険会社で販売されています。
生命保険は満期が来れば決まった金額が受け取れる仕組みである上に、ケガや病気の際に保険金が出るシステムです。一方で中途解約すると元本が保証されない可能性があるので、加入前に商品の詳細を確認しておきましょう。
また個人年金や生命保険は年末調整で申請すれば、還付金が受け取れる点も魅力です。
転職時の交渉
派遣会社へ登録する時、また他の派遣先企業へ移る時に、退職金制度の有無や詳細について確認しておくことが大切です。
その時に退職金制度だけでなく、時給アップや業務内容などについて交渉すれば、条件をのんでもらえる可能性があります。もし退職金制度がなくても時給が上がることにより結果的に収入が上がったり、技術面や環境面で納得したりして仕事ができるとやりがいが倍増するでしょう。
他にもボーナスや年金制度が整っている、また研修制度が充実しているなど自分が働く上で大切にしたい条件を洗い出しておくと、後でミスマッチが起きにくくなります。
派遣会社や派遣先企業での労働条件で、自分の中での落としどころを見つけて、後悔のないように仕事を選択したいものです。
派遣社員で働くならアウトソーシングテクノロジーへ
派遣社員は、登録する派遣会社や勤務先の企業によって退職金が受け取れる可能性があります。また退職金にもさまざまな種類があるので、自分が登録する派遣会社はどの条件に当てはまっているのか、事前に確認しておきたいところです。
当社アウトソーシングテクノロジーは、全員を正社員雇用する無期雇用型の派遣会社です。当社では、退職金制度の代わりに確定拠出年金の制度を完備しております。給与から積み立てて、将来年金として受け取ることができます。
また他にも、資格やスキルに応じて給与が決まる人事評価制度を導入している点も魅力です。給与アップに必要な研修や資格取得支援などを多数提供しているので、段階的にキャリアアップしたい方におすすめです。
興味が湧いた方は、お気軽にカジュアル面談からお待ちしています。