電気設計エンジニアとは?年収・仕事内容・必要スキルを徹底解説

電気設計エンジニアは、私たちの身近な電化製品や建物の電気設備を設計する重要な職業です。生活に欠かせない電気の部分を支える仕事は社会的にも非常に価値があり、やりがいのあるものです。しかし、具体的にどのような仕事をしているのか、どんなスキルが求められるのか、はじめて目指す方にはわかりにくいことも多いでしょう。

そこで、この記事では電気設計エンジニアの仕事内容や年収、必要なスキルを詳しく解説し、実際にこの仕事を目指すための参考になる情報を提供します。
あわせて電気設計エンジニアに対する「きつい」「やめとけ」といった意見や、キャリアパス、学習方法についても触れ、目指すべき方向性を明確にします。

電気設計エンジニアの基本情報を知りたい方は、ぜひ本記事をご一読ください。

【この記事を読むと分かること】

  • ・電気設計エンジニアの仕事内容や年収
  • ・電気設計エンジニアを目指すメリット
  • ・電気設計エンジニアのネガティブな声を把握

目次

  1. 電気設計エンジニアとは?
  2. 電気設計エンジニアの仕事内容(業務プロセス別)
  3. 電気設計エンジニアの補助業務
  4. 電気設計エンジニアの年収
  5. 電気設計エンジニアの必要スキル・資格
  6. 電気設計エンジニアはきつい?やめとけと言われる理由とは
  7. それでも電気設計エンジニアを目指す理由とは?
  8. 電気設計エンジニアのキャリアパスと必要な学習方法
  9. 電気設計エンジニアとして働きたい人と、人材にお困りの企業様をつなぐため

電気設計エンジニアとは?

電気設計エンジニアとは、電化製品や建物などに必要な電気回路やシステムの設計・開発・制作・修理を行うエンジニアです。担当するのは建物や電化製品の他にも、モバイル端末、電気自動車、医療用機器など多種多様な製品の電気設計です。

私たちの生活が進化するにつれ、電気設計エンジニアの需要も高まっています。近年、最新の電化製品はインターネットに接続され、遠隔操作できるようになりました。電気設計エンジニアは、そういった便利な電化製品やスマートフォンなどの機器を設計・開発しています。家電メーカーで活躍する電気設計エンジニアは多く存在します。

電化製品に限らず、電気自動車や医療機器などの部品を組み込むアナログ回路の設計も行います。電気設計エンジニアは自動車メーカーや精密機器メーカーなどでも欠かせない存在です。

電気設計エンジニアの仕事内容(業務プロセス別)

続いて電気設計エンジニアの具体的な仕事内容を、以下の3点から解説します。

  • (1)設計業務
  • (2)評価・試験業務
  • (3)生産・品質管理業務

電気設計エンジニアは上流工程から下流工程まで携わります。1つずつ詳しく確認していきましょう。

(1)設計業務

電気設計エンジニアの仕事は、顧客の要望をしっかりとヒアリングした後、開発計画を立案することです。電気的な機能や動作を実現するために、電気回路やシステムを構築します。過去の製品や新しく設置したい機能などを整理しながら計画を立てていきます。

電気設計エンジニアが担う回路設計では、信号処理、信号増幅、フィルタリングなど要件に応じて、素子の選定や回路の構成、シミュレーションを行います。電子機器の性能や信頼性を向上させることが目的です。

また基板設計も業務のひとつで、電子回路に使われるプリント基板の部品配置や配線を設計します。部品配置や電源配線の最適化を行い、信号のクロストークや電磁干渉を抑えて、信頼性や性能を向上させていきます。

(2)評価・試験業務

電気回路の設計を終えた後、評価・試験業務に取り掛かります。設計した電子回路が、設定した環境条件や負荷条件を満たすのかを確認していきます。評価・試験はさまざまな種類があり、電気設計エンジニアには適切な試験や評価を行う技術が必要です。評価や試験自体は、アシスタントによって行われることがあります。

例えば温度評価では、動作保証温度範囲内で性能や機能が正常動作することを確認します。また振動試験では、振動による機能障害やハンダクラック、部品の脱落などのリスクを判断します。試験の目的は、運搬時や落下時の衝撃によって破損が起きないか確認するためです。

(3)生産・品質管理業務

電気設計エンジニアにとって生産・品質管理業務も重要な仕事です。プロセスごとに製品の検査を行い、製品の品質が不十分、または不良品が多いなどの場合、製品の改良を進めていきます。この時、設計工程から生産工程まで幅広く見直し、担当者と打ち合わせを重ねた上で改良していく必要があります。製造途中で適切な検査を行うことで、製造ロスの抑制が実現します。

製造途中での検査とあわせて、完成品の性能や品質を検査することも重要です。完成した製品の性能や品質が、自社や法律のルールに沿っているかを検査する必要があります。

電気設計エンジニアの補助業務

他に電気設計や開発に忙しい電気設計エンジニアの仕事をサポートする補助業務があり、正社員や派遣社員などの雇用形態にて募集されています。ここからは電気設計エンジニアの補助業務を、以下の2種類から解説します。

  • (1)評価アシスタント
  • (2)CADオペレーター

1点ずつ確認していきます。

(1)評価アシスタント

評価アシスタントとは、開発品の機能や性能に関する評価、また信頼性試験の業務を補助するポジションです。評価内容の設計を電気設計エンジニアが担当し、試験の実施はアシスタントが担うことが多いです。エンジニアの工数不足が問題になる中で、アシスタントのポジションが重宝されています。評価アシスタントは円滑に試験を実施できるだけでなく、電気回路に関する基礎知識があるとデータへの理解が深まるでしょう。

評価アシスタントには、開発企画の承認前に、実証実験の補助を行う「実験アシスタント」や、機械、電気・電子分野において工業規格や製品仕様で要求される信頼性試験の補助業務を行う「試験評価アシスタント」などの種類があります。

(2)CADオペレーター

CADオペレーターは、2DCADや3DCADを使用して、図面を編集・修正、3Dモデルの作成・修正、手書きの図面をCAD図面化、3Dモデル化などの作業を行うポジションです。中でも電気系CAD設計の業務は、設計担当者からの情報を基に電気CADを用いて図面を作成する補助業務を担います。

設計する図は「電気設計図」の場合は建物内の照明設備、スイッチ、通信設備などの位置を示した図面です。また「裏面接続図」の場合は配電盤や制御盤内部の器具配置を詳細に示して、実際の配線を具体的に示した図面をおこします。

電気設計エンジニアの年収

求人ボックスの調査によると、電気設計エンジニアの平均年収は491万円、派遣社員(登録型)の平均時給は2,142円というデータが出ています。日本の平均年収は458万円、ITエンジニアの平均年収は461万円とされているため、電気設計エンジニアは年収が少し高いということが分かります。

参考:求人ボックス給料ナビ

電気設計エンジニアの年収は、経験やスキルによって大きく異なります。現場での実務経験が豊富である、難易度の高い資格を取得している、マネジメント経験があるといった場合、年収アップが期待できます。またグローバル企業への転職、研究職やコンサルタントへのキャリアアップなどでも高年収が狙えます。

電気設計エンジニアの必要スキル・資格

電気設計エンジニアに必要なスキルは、以下の通りです。

  • ・電子工学・電気工学の知識
  • ・論理的思考
  • ・コミュニケーション能力
  • ・マネジメントスキル

電気設計エンジニアには、電子工学や電気工学に関する専門的な知識を要します。「電荷・静電気」「電圧・電流」「抵抗」など基本的な知識は必須といえるでしょう。また「顧客のニーズに応えるにはどのように設計するべきか」を考えることが仕事のため、筋道を立てて考える論理的思考力が欠かせません。

また電気設計エンジニアが取得すると良い資格は、以下が一例です。

  • ・電気主任技術者
  • ・電気工事士
  • ・E検定

電気主任技術者や電気工事士は電気設備に関する国家資格で、スキル証明として信頼度が高い資格です。また、E検定を習得すれば、電子回路や電気回路、半導体、コンピューターなどエレクトロニクスに関わる知識が身に付きます。

電気設計エンジニアはきつい?やめとけと言われる理由とは

電気設計エンジニアは「きつい」「やめとけ」という声を耳にしますが、なぜなのでしょうか。ネガティブな声が上がる理由を、以下の4点から解説します。

  • (1)納期が厳しい
  • (2)高い専門知識が求められる
  • (3)トラブル対応が発生する
  • (4)他部署や取引先との調整が多い

ネガティブな意見を事前に確認して、納得した上で電気設計エンジニアを目指すと後悔しません。

(1)納期が厳しい

電気設計エンジニアは納期が厳しいことが多く、きついと感じることがあります。電気設計エンジニアは製品の開発に関して、初期段階から関わります。仕事の工数が多く、スケジュールがタイトになってしまうことが多いです。特に想定外のトラブル対応や修正対応などを行う際は、残業が増えることが度々あります。

また、電気設計の仕事は、プロジェクトの中で重要なポジションとなるため、完成のスケジュールに合わせて確実に設計しなければならず、責任感の強さも必要です。

(2)高い専門知識が求められる

電気設計エンジニアは高い専門知識を要する職業であり、難易度の高さから「やめとけ」という声が上がることもあります。業務では、電気回路や電子部品、ノイズ対策、品質保証など幅広い専門知識が必要です。特に、自動運転技術や医療機器など、安全性が求められる分野では、極めて高い精度が要求されます。そのため、電気設計エンジニアには高度な技術力と専門知識が不可欠です。

また、電気設計エンジニアは社会動向や顧客のニーズを的確に捉えることも求められます。技術や市場の変化が激しい中で、常に最適な設計ができるよう、継続的な学習が必要となります。

(3)トラブル対応が発生する

電気設計エンジニアにはトラブル対応が発生することがあり、きついと言われている可能性があります。回路設計の仕事は、トラブルや新たな課題への対応が日常的に発生します。例えば配線や部品の選定ミスなどにより、回路が思った通りに作動しないことがあります。さらに回路の設計時に発生する問題もあります。

そういったトラブルが発生した際には、社内関係者との調整や顧客への説明などさまざまな対応に追われることになるため、気苦労が多い仕事といえるかもしれません。

(4)他部署や取引先との調整が多い

電気設計エンジニアは他部署や取引先との調整が多いため、一部の人がギャップに感じている可能性があります。

電気設計に関する仕事は、回路設計を淡々とこなすだけではなく、機械設計やソフトウェア設計、製造部門などさまざまな関係者とやり取りを行います。他の職種のメンバーと連携を取る機会が多く、専門分野を分かりやすく説明したり他部門の意見を理解したりするコミュニケーション能力を要します。

また、顧客と仕様に関する打ち合わせを行う機会があり、顧客折衝の経験は高評価につながりやすいです。

それでも電気設計エンジニアを目指す理由とは?

電気設計エンジニアが「きつい」「やめとけ」という声がある中でも、電気設計エンジニアを目指すのは、それだけ魅力があるからといえるでしょう。

ここからは電気設計エンジニアを目指す理由について、以下の4点から解説します。

  • (1)自分が設計した製品が実際に動く
  • (2)技術力が身につく(専門性が高い)
  • (3)給与や待遇が比較的良い
  • (4)転職やフリーランスの選択肢が広がる

1点ずつ確認していきましょう。

(1)自分が設計した製品が実際に動く

電気設計エンジニアは、自分が設計した製品が形になることでやりがいを感じられる仕事です

電気設計エンジニアは先端技術や社会インフラなど、生活の中でなくてはならないものに関わる機会が多く、人々や社会に貢献していることを実感できるでしょう。

成果が目に見える点や、社会貢献に関わる点で、業務に対するモチベーションを維持できます。

(2)技術力が身につく(専門性が高い)

電気設計エンジニアは、専門的な技術が身につく魅力的な仕事です。電気設計に関わる技術は、一度身につけるとさまざまな業界で応用可能です。

例えば建物の設計に関わる電気設備、インターネットに接続する便利な電化製品、電気自動車、医療用機器などに関わるポジションがあります。

特に近年ではモノとインターネットをつなぐ「IoT(Internet of Things)」分野の需要が高まり、人材不足と言われています。より専門性を磨けば仕事に困りにくくなるでしょう。

電気設計に関する分野は、新しい情報や技術が次々に出てきて、働きながら勉強することが欠かせません。技術習得の過程は大変なこともありますが、高い技術を身につければ多くの業界・企業で重宝される人材になれるでしょう。

(3)給与や待遇が比較的良い

電気設計エンジニアは、給与や待遇が比較的好条件の職種です。

これまでにも述べたように、電気設計エンジニアの平均年収は491万円、日本の平均年収は458万円というデータがあります。つまり日本の平均と比べて、年収は33万円高いことになります。電気設計エンジニアの仕事は専門性が高い分、年収が高い傾向にあります。

参考:求人ボックス給料ナビ

電気設計エンジニアは技術力を磨いたり経験を積んだりすれば、さらなる高年収が期待できます。また大手企業の開発部門で働くチャンスが多く、待遇の良さにも期待できます。

(4)転職やフリーランスの選択肢が広がる

電気設計エンジニアとして高い技術力を身につけさまざまな経験を積めば、転職やフリーランスの選択肢が広がります。専門性が高いスキルは人員の替えが効きにくいため、他の企業で働く際や独立した後にも活かしやすいでしょう。電気設計エンジニアはトラブル対応が大変、専門性の高さに苦労するなど大変なことが多い分、それだけ高い経験値が得られるといえます。

電気設計エンジニアは、高校卒業レベルの数学知識やパソコンのスキルがあれば、未経験でも採用される可能性があります。まずは現場で経験を積むことを重視しましょう。またフリーランスの案件は数は少ないものの、一部募集されています。電気設計に関わる案件だけでなく、コンサルタントや講師として活躍できると選択肢が広がります。

技術の進化とともに成長できる

電気設計エンジニアは、業務の中でIoTや人工知能、電気自動車などの最先端技術に携わります。これらの技術は新しい情報が次々に出てくるため、勉強を怠ると知識が古くなってしまう懸念があります。それゆえに仕事をしながら学び続けなければなりません。

また日々の勉強を通して自分自身の成長を楽しめる方に向いています。

電気設計エンジニアのキャリアパスと必要な学習方法

電気設計エンジニアは、まずは先輩のサポートを受けながら基本的な経験を積んでいきます。徐々に設計や評価、開発などの業務を任されるようになっていきます。そして段々と複雑なプロジェクトを任されるようになると、若手の指導を担うことがあるでしょう。

さまざまな経験を積んだ後は、プロジェクトリーダーやマネージャーに昇格することがあります。マネジメントを行う立場になると、プロジェクトの進捗管理や人員の配置、チーム指導などを担います。

電気設計エンジニアになるためには、電気工学や電子技術に特化したスクールに通うことが選択肢のひとつです。スクールは専門学校や国が提供する「一般教育訓練」、通信教育などがあります。

もし未経験歓迎の求人があれば、まずは現場に飛び込んでみるのも良いでしょう。その際、研修制度が整っている企業を選ぶことが大切です。例えば当社アウトソーシングテクノロジーでは、スキルアップ制度が充実しています。対象資格であれば受験費用や報奨金を受け取れます。

電気設計エンジニアとして働きたい人と、人材にお困りの企業様をつなぐため

電気設計エンジニアは、電化製品や建物などに必要な電気回路やシステムの設計・開発・制作・修理を担います。

専門的な技術の習得や納期の厳守など大変な面は多いものの、スキルを習得すればさまざまな業界で活躍できます。社会インフラや最先端技術に関わる仕事に興味がある方は、電気設計エンジニアの仕事を選択肢に入れてみてください。

当社アウトソーシングテクノロジーでは、電気設計エンジニアや評価アシスタントの仕事も取り扱っています。興味がある方は、気軽にお問い合わせください。

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