派遣社員で社会保険に入りたくない…加入は必須なの?デメリットメリットから最適な選択を紹介
2024.11.07
派遣社員として入社した際、労働条件によっては、社会保険への加入が義務付けられます。しかし、給料から天引きされるため「手取りが減るので社会保険に入りたくない」「社会保険への加入は必須なのかな?」といった不安や悩みを抱えられる方も多くなっています。
派遣社員として社会保険に加入する事について、デメリットのイメージが強い方はメリットもあわせて確認し、社会保険への理解を深めておきましょう。
この記事では派遣社員の社会保険をテーマに、メリットやデメリット、加入条件について解説します。社会保険の仕組みについて理解したい方はぜひご一読ください。
【この記事を読むと分かること】
- ・派遣社員の社会保険への加入は必須なのか
- ・社会保険に加入する条件について
- ・社会保険に加入するメリット・デメリット
目次
派遣社員で社会保険に入りたくない!加入は必須なの?
派遣社員になる際に「派遣社員は社会保険に入れるのか」「派遣社員は社会保険への加入が必須なのか」とさまざまな疑問が湧いているかもしれません。
結論から言うと、加入するかしないかは派遣社員、正社員、アルバイトなどの雇用形態で決まる訳でも、自由に選べる訳でもなく、「派遣会社の条件や労働者の勤務時間などの条件」 によって加入が義務付けられています。
社会保険に対して良い印象を持っていない方がいるかもしれません。特に派遣社員として働く場合「少しでも多く給料を受け取りたい」「短い期間しか働く予定をしていない」といった状況にある場合、社会保険への加入にメリットを感じにくいかもしれません。
本記事では社会保険に加入した場合のデメリットとメリットも紹介していきます。両方の側面を理解した上で、派遣社員として働く際に社会保険に加入することが自分にとって有利かどうかの判断材料にしてください。
派遣社員で社会保険に入るデメリットとは
ここからは派遣社員で社会保険に入るデメリットを、以下の6点から解説します。
- (1)社会保険料が高いため、手取りの給与が少なくなる
- (2)就労時間や条件に制約がかかる
- (3)年金を受給している場合、年金受給額が減額される
- (4)既存の保険と重複する
- (5)会社の負担増によって待遇や契約条件が変更される
- (6)短期的な雇用のため社会保険の恩恵を受けられない
加入を検討する場合、メリットばかりでなくデメリットも把握して、納得した上で新しいキャリアへ進みましょう。
(1)社会保険料がかかるため、手取りの給与が少なくなる
社会保険に加入すると、健康保険や厚生年金保険が毎月給料から天引きされます。
全国健康保険組合のデータによると、東京で月額20万円の報酬を受け取る場合、健康保険の負担額は9,900円、厚生年金保険は18,300円とされています。
参考:全国健康保険協会|平成30年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
つまり、合計28,200円が天引きされることになり、給料の手取り金額が少なくなるデメリットがあります。
少しでも多くのお金を手元に残したい場合、痛手に感じるかもしれません。
(2)就労時間や条件に制約がかかる
派遣社員が社会保険に加入するためには、一定の就労時間や条件を満たす必要があります。つまり、社会保険に加入できる労働条件で働く必要があるという事になります。社会保険に加入するための条件として「正社員」や「派遣社員」といった雇用形態は関係がありません。派遣社員自身の労働条件によって適用対象となります。
労働者が社会保険の適用対象となるのは、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、正社員(フルタイムで勤務する労働者)の3/4以上で、2か月を超えて雇用される見込みがあることが条件になります。
ここでの所定労働時間とは契約上の労働時間を指していて、休憩時間や臨時に発生する残業時間は含まれません。一般的に、週に30時間以上働く場合には加入する義務があると言えます(フルタイム勤務者の所定労働時間が40時間の企業の場合)。
派遣社員で働く場合、所定労働時間が正社員の3/4未満となることもあるでしょう。その場合でも、週の所定労働時間が20時間以上で月額賃金が8.8万円以上であれば加入対象になります。
社会保険に加入するためには週に20時間以上働く必要があるといった制約がかかることを知っておきましょう。
(3)年金を受給している場合、年金受給額が減額される
現在、年金を受給している方が社会保険に加入すると、年金受給額が減額される可能性があります。
老齢厚生年金と給料の合計が1か月あたり50万円を超える場合、年金の一部金額が支給停止になります。労働可能時間や年金受給額を改めて確認して、生活環境や金銭面で最適な手段を取りましょう。
(4)既存の保険と重複する
これから派遣社員として働く方の中には「家族の健康保険に扶養として加入している」「国民健康保険に加入している」といった方がいるかもしれません。
そういった場合は、社会保険に加入すると、大幅に出費が増えてしまう可能性があります。
特に、家族の扶養に入っている方にとっては、新たに社会保険に加入すると健康保険料と年金保険料を負担しなければなりません。扶養内で働き続けるのか、新たに派遣社員になり社会保険に加入するのか、家族と相談しつつ最適な方法を選ぶことが重要です。
(5)会社の負担増によって待遇や契約条件が変更される
派遣社員が社会保険に加入すると、派遣会社の費用負担が増えることになります。
健康保険、厚生年金保険、介護保険は労働者と派遣会社がそれぞれ半分ずつ負担するからです。
そのため、特に小さな派遣会社では、経費の負担が大きくなるため、労働者の待遇や契約条件に影響が出てしまうかもしれません。雇用の縮小や労働条件の変更などの懸念があるでしょう。
派遣会社は派遣社員に対して、以下の割合で費用をかけています。
給与 | 70.0% |
社会保険料 | 10.9% |
有給費用 | 4.2% |
諸経費 | 13.7% |
営業利益 | 1.2% |
派遣料金 | 100% |
参考:一般社団法人日本人材派遣協会|派遣社員の賃金と派遣料金
社会保険料の割合は10.9%もあり、派遣会社にとって少なくない負担額になっているといえるでしょう。
(6)短期的な雇用のため社会保険の恩恵を受けられない
派遣社員として短期的に雇用される場合、社会保険の恩恵を十分に受けられない可能性があります。病院に通ったり出産したりするタイミングが、契約期間中に訪れるとは限らないからです。
社会保険制度を利用する機会が少ないこととは裏腹に、社会保険に加入すれば毎月保険料が天引きされます。保険料を支払っている割に制度を利用する機会が少なく感じ、損した気持ちになってしまうかもしれません。
派遣社員が社会保険に加入するメリットとは?
続いて派遣社員が社会保険に加入する7つのメリットを解説します。
- (1)健康保険の手厚い保障が受けられる
- (2)将来の年金額が増加する
- (3)将来介護サービスを利用するための保障が受けられる
- (4)仕事中のケガや、失業した場合に保険金を受け取れる
- (5)家族が扶養家族として保険加入させることができる
- (6)健康診断を受けることができる
- (7)企業年金や退職金制度を受けられる場合がある
1つずつ詳しく紹介していきましょう。
(1)健康保険の手厚い保障が受けられる
派遣会社の社会保険に加入すると、健康保険の手厚い保障が受けられます。自営業やフリーランスが加入する「国民健康保険」と比べて、健康保険の方が保障が充実しています。
健康保険に加入すると、医療費の自己負担額が軽減され、3割負担で病院にかかることができます。他にも傷病手当金として、業務外の病気やケガで会社を休んだ際に最大1年6か月間、給与の2/3の金額が受け取れます。さらに出産手当金として、産休中に給与の2/3の金額が受け取れます。家庭でのプランや今後のキャリアについて計画を立てると、社会保険への加入はプラスに働くといえるでしょう。
(2)将来の年金額が増加する
派遣会社の厚生年金保険に加入すると、将来受け取る年金額が増額します。
全国民共通の国民年金に加えて、給与の額に基づいて計算される「厚生年金保険」を受け取ることができます。
厚生年金保険は、派遣会社と労働者がそれぞれ半分ずつ負担します。
報酬額によって将来受け取る金額が変わりますが、加入するためには、一定の条件があります。
例えば1週間の労働時間が20時間以上であることや、月額賃金が8.8万円以上であることなどを満たす必要があります。
参考:政府広報オンライン|パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。
また、厚生年金保険に加入している労働者が障害を負った場合、障害厚生年金を受け取ることができます。さらに、万が一その労働者が亡くなった場合には、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
(3)将来介護サービスを利用するための保障が受けられる
社会保険は健康保険、厚生年金保険の他に、40歳を超えると「介護保険」にも加入し、保険料を納めなければなりません。
介護保険も他の社会保険と同様に、給与から毎月天引きされます。また、保険料は労働者と派遣会社が半分ずつ負担する仕組みとなっています。
介護保険料を納めていれば、将来1割から3割負担で介護サービスを受けられます。介護サービスの対象となるのは、訪問介護・デイサービス・特別養護老人ホームの利用、福祉用具購入費や住宅改修費の支給など、その内容は多岐に渡ります。
(4)仕事中のケガや、失業した場合に保険金を受け取れる
社会保険制度には健康保険、厚生年金保険、介護保険の他に、労災保険と雇用保険があります。
労災保険へ加入していれば、仕事中や通勤時間中のケガに対して保険金を受け取ることができます。労災保険は労働者が負担する必要はなく、派遣会社が全額負担します。
また雇用保険に加入すれば、失業した時や育児・介護のために休業した時に、保険金が受け取れます。他にも新しく技能を身に付ける「教育訓練」を受ける際にも、保険金の給付が受けられます。仕事ができない状況に陥った際に、生活の困窮を防ぐことができます。
(5)家族が扶養家族として保険加入させることができる
社会保険に加入すると、配偶者や子どもなどを扶養家族として保険に加入できるメリットがあります。
社会保険の扶養に入ると、扶養家族分の健康保険や年金を支払う必要がありません。さらに配偶者の場合、年収130万円未満であれば働くこともできます。
また、扶養家族がいると配偶者控除の対象となり、被保険者の税負担が軽くなります。つまり給料の手取り額が増えることになります。
(6)健康診断を受けることができる
派遣社員が社会保険に加入すると、健康診断を受けることができます。
派遣会社は福利厚生の一環として、健康診断を提供しています。健康診断は「雇用主が医師による健康診断を実施しなければならない」と労働安全衛生法で定められています。
健康診断が受けやすい環境が整っている上に、企業や派遣会社によっては就業時間中に健康診断を受けることができます。それゆえに実際に健康診断を受ける方は多く、体のトラブルが見つかりやすくなります。
(7)企業年金や退職金制度を受けられる場合がある
派遣社員が社会保険に入ると、企業年金や退職金制度を利用できる可能性があります。
企業年金は派遣会社独自の商品を取り扱っていたり、企業型確定拠出年金(DC)や確定給付企業年金(DB)などがあります。また、個人型確定拠出年金であるiDecoへ自由に加入できます。
企業年金への加入は任意ですが、将来に備えて掛けていれば退職後の生活安定につながります。
また、2020年4月に改正労働者派遣法が施行され、派遣社員が退職金の支給対象になりました。正社員と変わらない役割や働きを行う非正規社員に対して、不合理な待遇差を設けることが禁止されたためです。しかし、派遣社員の退職金制度は、3年以上働き続けることが支給条件となる場合があります。
派遣社員が社会保険に加入する条件とは?
派遣社員であれば誰でも社会保険に加入できる訳ではなく、個人の労働条件や企業規模の条件が定められています。ここからは社会保険に加入する条件を「健康保険・厚生年金保険」と「雇用保険」の2項目に分けて解説します。
健康保険・厚生年金保険
健康保険と厚生年金保険へ加入する条件は、正社員、派遣社員、パート・アルバイトといった雇用形態には関係が無く、個人の労働条件によって決まります。適用条件は次の通りです。
- 1週間の所定労働時間が、フルタイム勤務者の3/4以上であること
- 2か月を超える雇用の見込みがあること
ただし、所定労働時間が3/4未満の方でも次の条件に当てはまる場合は適用対象となっています。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 賃金が月額8.8万円以上であること
- 2か月を超える雇用の見込みがあること
- 学生でないこと(ただし、定時制や通信制の学生、社会人大学院生などは例外)
週の所定労働時間が30時間未満の労働者については、これらの条件に加えて、従業員数が51人以上の企業で働く場合に加入が義務付けられています。2024年10月に「101人以上」から「51人以上」に変更され、適用範囲が拡大されました。
雇用保険
雇用保険も健康保険や厚生年金保険と同様に、正社員、派遣社員、パート・アルバイトといった雇用形態に関係なく、以下の条件を満たす場合には加入する必要があります。
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 学生でないこと(ただし、定時制や通信制の学生、社会人大学院生などは例外)
ここで言う「31日以上の雇用見込み」とは、31日以上雇用が継続しないことが明確でない場合に対象となります。雇用契約に更新の規定がなくても、同様の契約により31日以上雇用された労働者がいるという実績がある場合も含まれます。
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派遣社員の社会保険加入は、短期的に見るとメリットを感じにくいかもしれませんが、病気やケガをした時の保障の手厚さは、将来の年金額に大きく影響します。
また同一労働同一賃金の働きかけを主体に、派遣社員が社会保険に加入しやすい環境は年々整ってきています。
当社アウトソーシングテクノロジーは、雇用期間の定めがない「無期雇用派遣」(正社員登用による人材派遣)であるため、社会保険への加入はもちろんのこと、各種休暇や福利厚生も充実しているので、働きやすい環境となっていておすすめです。
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