CADエンジニアとは?CADオペレーターとの違いや仕事内容・平均年収・業界職種の例を徹底解説
2025.5.15

「手に職をつけて働きたい」「ものづくりの仕事に関わりたい」そんな思いを持つ方に注目されているのがCADエンジニアという仕事です。しかし、名前は聞いたことがあっても、どんな職種なのか、未経験からでもなれるのか、知らない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、CADエンジニアの仕事内容や平均年収、業界・職種の例など職種の基本部分を解説します。また、CADオペレーターとの違いや、未経験からCADエンジニアを目指す方法についても詳しく解説します。
CADエンジニアの仕事に少しでも興味がある方は、本記事をぜひ参考にしていってください。
【この記事を読むと分かること】
- ・CADエンジニアの仕事内容や活躍できる業界
- ・CADエンジニアとCADオペレーターの違い
- ・CADエンジニアに必要な資格とスキル
目次
CADエンジニアとは?

CADエンジニアとは、コンピュータ支援設計ツール(CAD)を使って構造物の設計や図面を作成する技術者のことです。
CADエンジニアは製造、建築、インテリアデザインをはじめ、さまざまなものづくりの業界で重要な役割を担っています。例えば建築・土木業では、CADで図面や完成予想図を作成します。これらは工事費用の見積もりや資材調達の際に、正確な情報となります。
また機械製造の場合は、試作品や金型の部品図や組立図を作成し製品化を目指します。CADエンジニアの業務には高度な知識やスキルを要するため、大学で専門知識を学ぶ方も多いです。
CADエンジニアの主な仕事内容
ここからはCADエンジニアの仕事内容について、以下の3点から解説します。
- ・設計図の作成
- ・図面の修正・更新
- ・3Dモデリング
1点ずつ確認していきましょう。
・設計図の作成
CADエンジニアは、設計図を作成することが仕事のひとつです。顧客の要望を叶える構造物や機械を作成するために、設計図を緻密に作成していきます。構造物や機械を作るうえでの最初の段階となり、責任感が強いられるポジションです。
例えば建物の設計図を作る際、まずはデザインや見積もりに必要な平面図や立面図などを描きます。続いて強度計算に必要な図面を追加します。そして屋根や建具、外構など必要な図面を描き、その内容を基にねじ穴などの細部まで正確な図面を描きます。
設計が進むにつれて、どんどん内容を詳細化させていくイメージです。並行して分析を行うことで製品や建物の性能・耐久性を磨き、品質向上を目指します。
・図面の修正・更新
CADエンジニアの仕事は図面の作成だけでなく、修正・更新を担当することがあります。設計図の完成には、設計に必要な仕様の考慮や、顧客の要望を叶えることが重要です。そのため途中でズレが生じていることに気付いたり、顧客の要望が変わったりすると、都度修正しなければなりません。
CADのツールにデータが残るため、以前と比べて設計図の修正・更新がスムーズになりました。またCADはプロジェクトのメンバーや顧客に共有しやすい点も魅力です。
・3Dモデリング
CADエンジニアの仕事として、3Dモデリングを担当することがあります。そもそも3Dモデリングとは、コンピュータ上で立体的に表現されたオブジェクトを作成する工程を指していて、建築や自動車、医療関連の分野で活用されています。
3Dモデリングとして、例えば建物や内装の3Dモデルを作成して、完成イメージを再現することが可能です。また自動車のエンジンやパーツなどのシミュレーションに活用することもできます。「製品を実際に作る前にシミュレーションを行うことで、失敗を防ぎやすくなり、品質向上やコスト削減、時間短縮などさまざまなメリットにつながります。
CADエンジニアが活躍する業界・職種の例
ここからはCADエンジニアが活躍する業界・職種の例として、以下の5項目を紹介します。
- (1)製造業(機械・部品設計)
- (2)自動車業界
- (3)建築業界
- (4)土木業界
- (5)電気・電子業界
CADエンジニアが、各業界で具体的にどのような業務を行っているのか、1項目ずつ確認していきます。
(1)製造業(機械・部品設計)
CADエンジニアは、製造業に関する機械や部品を設計することが仕事のひとつです。
機械設計では、製品の形状や配置などの見た目を作ることと、製品がどのように動くかの2点を考慮する必要があります。これら2つの設計を組み合わせることで、機械設計の完成を目指します。
機械・部品設計では、細部まで作り込まれたさまざまな図面を用います。例えば複数の部品で構成された製品の図面や、部品の寸法精度や加工手順などを明らかにして条件を示した図面を作成します。
(2)自動車業界
CADエンジニアは自動車業界でも活躍することが可能で、国内の大手自動車メーカーでの電装部品の設計開発などの求人があります。仕事内容は車載電気・電子部品の回路設計、自動運転や運転支援システムの開発、設計手配、CADデータの確認などが一例です。要件定義から詳細の設計まで経験に合わせてプロジェクトに参画します。
(3)建築業界
CADエンジニアは、建築業でスキルを活かして活躍することができます。建築物には住宅も含まれるため、企業に限らず個人が顧客になることが特徴です。
建築業界でも業務段階に応じてさまざまな設計を行い、図面に起こすことが仕事です。例えば、顧客が建設を希望する建物の間取りや構造、材料などを表した図面を作成することが業務のひとつです。
さらに水道やガス、冷暖房などに関する配管、電気配線、設備機器の機種や仕様を示す図面を作成することも仕事で、建物完成へ向けて細部まで作り上げていきます。
(4)土木業界
CADエンジニアは、土木業界でもそのスキルを活かすことが可能です。例えばゼネコンの土木部門や建設コンサルタント企業において、道路や橋、ダムなどインフラの整備を行います。
業務には構造計算の知識を要するため、インフラを対象とした計画・施工・維持・管理などの専門知識が求められます。土木業界での図面は、膨大な測量データを用いて作成されることが多く、視野を広げて図面を作成しなければなりません。地形や地質などの自然条件を考慮した設計が重要となります。
(5)電気・電子業界
CADエンジニアは電気・電子業界でもそのスキルを活かすことができます。電気に関するさまざまな図面を作成していくことが業務のひとつです。例えば建物内の照明設備やスイッチ、火災報知器などの位置を示した図面を作成します。
また受変電設備、分電盤、制御盤内の接続方法など電気設備の接続状況を1本線で表した図面を作成します。そして配線を実際の接続本数で記載したり各機器の端子番号を詳細に明記するなど、より具体的な図面に仕上げていきます。
CADオペレーターとの違いとは?混同しやすい職種を比較

CADエンジニアと混同してしまいがちな職業に、CADオペレーターがあります。どちらもCADのソフトを使い、ものづくりに関わる点は共通していますが、責任範囲や求められるスキルなどが異なります。
それぞれどういった違いがあるのか、ここでは3項目から解説します。
役割・責任範囲・求められるスキルの違い
CADエンジニアは建物や機械、電気回路などの構造設計を行うことが仕事です。業務では設計や製図、3Dモデリングなどを行うため、高度な技術が求められます。設計時にはあらゆるリスクに配慮して設計しなければならず、各分野について熟知している必要があります。大学の工学部などで専門知識を学んでいるエンジニアが多いです。
一方でCADオペレーターは、正確な図面を描くことがメインの仕事で、設計者が思い描くデザインを可視化する必要があります。CADのツールの使いこなすことや、各分野に関する基礎的な知識が求められます。
業務上の違い
ここまでの説明でも明らかですが、CADエンジニアは専門知識を活かして、設計を行うことが仕事です。主体的に構造物を作ることで社会に貢献できることがあり、仕事のやりがいは大きいといえるでしょう。業務の中で判断力や創造性が求められます。
一方でCADオペレーターは、設計者の要望に合わせてCADのツールで図面を起こすことが仕事で、時にはCADエンジニアの補助的な役割を担うことがあります。図面への理解や集中力の高さなどが必要です。
未経験者はどちらを目指すべき?
未経験の場合、CADオペレーターの方が転職のハードルが低いです。CADオペレーターは未経験者を受け入れている企業もあり、事前にスキルを身に付ける前に飛び込んでみるのも良いでしょう。
一方でCADエンジニアは未経験者歓迎の求人は少なくなっています。CADオペレーターと比較すると、工学や機械学などより専門的な知識を要します。
CADエンジニアへキャリアステップしたい場合、最初にCADオペレーターを経験した後に、設計業務にチャレンジできる求人を選ぶのがひとつの手です。CADオペレーターとして働き、CADのツールを熟知したり各分野に関する基礎知識を習得したりすることが近道でしょう。
CADエンジニアの平均年収
厚生労働省のデータによると、CADエンジニアの平均年収は452万円です。ただこのWebサイトには「CADオペレーター」しか明らかにされておらず、CADを取り扱う仕事が一括りになっている可能性があります。参考程度にご覧ください。
参考:厚生労働省「job tag」|CADオペレーターCADエンジニアの平均年収は業界やスキル、経験値などによって大きく異なります。ここではCADエンジニアの年収について、「スキル・業界による年収の違い」と「年代別の収入の目安」の2項目に分けて紹介していきます。
スキル・業界による年収の違い
CADエンジニアの年収について、自動車、建物、機械、土木の職種別にまとめました。
職種 | 年収 |
---|---|
自動車技術者 | 712万円 |
建築設計技術者 | 632.8万円 |
機械設計技術者 | 612.4万円 |
土木設計技術者 | 603.9万円 |
日本の平均年収は461万円であるため、各分野の設計を担当するポジションはかなり年収が高いことが分かります。
参考:1 平均給与|国税庁年収は目安でしかないため、スキルアップや資格取得を目指す、転職してキャリアアップを目指すなどして、自らのキャリアを積み重ねていくことが重要です。
例えばCADに関する資格を取得して、高度な技術力を身に付けることが可能です。また機械や建築などの専門分野を強化することで、設計時の説得力が増します。マネジメントに関する資格を取得して、キャリアアップを目指すのも良いでしょう。
年代別の収入の目安
年収は年代によっても大きく異なります。ここでは例として、CADオペレーターと機械設計技術者の年収を年代別にまとめました。
職業 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 |
---|---|---|---|---|
CADオペレーター | 352.9万円 | 439.1万円 | 488.6万円 | 524.2万円 |
機械設計技術者 | 407.0万円 | 600.8万円 | 705.1万円 | 759.5万円 |
年齢が上がるにつれて、着実に年収が上がっていることが分かります。年齢が上がるにつれて経験が積み重なり、段々とスキルが上がっていることが理由でしょう。しかしただ年齢を重ねるだけでなく、自らのキャリアを考え直す期間を設ける、資格取得によるスキルアップを目指すなど、自ら行動することも重要です。
CADエンジニアに必要な資格とスキルとは?

CADエンジニアに必要な資格は、以下が一例です。
- ・CAD利用技術者試験
- ・建築CAD検定試験
- ・CADデザインマスター資格認定試験
- ・機械・プラント製図技能士
資格はキャリアチェンジを目指す分野や身に付けたいスキルといった目的に沿って選ぶ必要があります。資格があればスキル証明に役立ち、転職やキャリアアップの時に評価される可能性があります。ただ仕事をする上で必須の資格は基本的になく、実務経験を大切にしていきたいところです。
またCADエンジニアに求められるスキルは、以下の通りです。
- ・コミュニケーション能力(顧客折衝・メンバーへの指導など)
- ・スケジュール管理能力
- ・集中力
CADエンジニアは各分野で設計を行うための専門知識や、CADのツールを使いこなす知識はもちろん、コミュニケーション能力やスケジュール管理能力も要します。CADエンジニアはプロジェクトの上流工程を担うため、正確に業務を進めなければその後の作業に影響を与えるでしょう。
CADエンジニアの将来性は?AI時代にも必要とされる理由
結論から言うと、CADエンジニアは将来性が高い仕事といえます。AI時代である昨今でも、人間でないと取り組めない業務があるからです。
設計などの複雑な業務は、AIでは対応できない一方で、図面の修正やトレースなどは簡単なものであればAIが対応できます。つまり専門知識を身に付けつつ、AIを使いこなせるCADエンジニアであれば、AI時代にも対応できるでしょう。
またAI以外にも、人手不足が嘆かれている近年、専門知識を有するCADエンジニアは重宝されます。少子化や働き方の多様化などにより、今後CADエンジニアが不足することが予想されます。つまり専門知識を習得した上で着実に経験を積んでいけば、市場価値の高いCADエンジニアになれる可能性は高いです。
未経験からCADエンジニアになるには?就職・転職のポイント

未経験からCADエンジニアになることは可能です。ただいきなり設計業務を担うことは難しいため、徐々にステップアップしていくことが大切です。
未経験からCADエンジニアへ転職したい場合、CADエンジニアのアシスタントや未経験歓迎の求人から探すことをおすすめします。まずは現場で専門知識を学んだり、業界の雰囲気を確かめたりすることが大切です。
そして研修制度が整っている求人や、ステップアップが望める求人などを選ぶと、将来のキャリアアップが実現する可能性が高まります。またCADを学ぶことを目的に派遣社員として働き、色んな業界で多くの知識を吸収するのも魅力的です。
CADエンジニアとして働きたい人と、人材にお困りの企業様をつなぐため

CADエンジニアはCADを操作するスキルだけでなく、各分野の専門知識を要するため難易度の高い職種といえるでしょう。
いきなりCADエンジニアへの転職を目指すのではなく、アシスタントのポジションから徐々にステップアップを狙うのがおすすめです。ぜひ仕事の選択肢に入れてみてください。
アウトソーシングテクノロジーでは、さまざまなエンジニア派遣の求人を取り扱っていて、中にはCADオペレーターの仕事もあります。実技研修やeラーニング、資格取得祝金支給などスキルアップをサポートする制度が整っています。
アウトソーシングテクノロジーから新しい職種を目指してみてはいかがでしょうか。