組み込みエンジニアとは?仕事内容やキャリアパス: 未経験から目指す方法と向いている人の特徴を徹底解説

組み込みエンジニアは、IoT(Internet of Things)やAIを用いてシステムを開発するエンジニアです。現在、市場が拡大するloTやAI技術を使うため、将来性の高さが期待できる職種といえます。

そこで、この記事では、組み込みエンジニアの仕事内容や使用するプログラミング言語、年収などを解説します。加えて未経験から目指す方法や、「やめとけ」と言われる理由についても解説します。

組み込みエンジニアへの就職や復職を目指す人はぜひ参考にしてみてください。

【この記事を読むと分かること】

  • ・組み込みエンジニアの仕事内容や年収などの概要
  • ・未経験から組み込みエンジニアを目指せるか
  • ・組み込みエンジニアに向いているか

目次

  1. 組み込みエンジニアとは?
  2. 組み込みエンジニアの主な分野と仕事内容
  3. 組み込みエンジニアが使うプログラミング言語とは?
  4. 組み込みエンジニアの年収はいくら?
  5. 組み込みエンジニアに未経験からなるには?
  6. 組み込みエンジニアが「やめとけ」と言われるのはなぜ?
  7. 組み込みエンジニアに向いている人とは?
  8. 組み込みエンジニアとして働きたい人と人材にお困りの企業様をつなぐ

組み込みエンジニアとは?

組み込みエンジニアとは、家電製品や自動車、ロボットなどに内蔵されるコンピューター、つまり「組み込みシステム」を開発するエンジニアを指します。一般的なシステム開発と比べて組み込みシステム開発は、コンピューターの頭脳とされる「CPU」やメモリの容量が限られるので、プログラミングをコンパクトにまとめる必要があります。

経済産業省のデータによると、ITサービス市場はIoTやAIの領域が急速に伸びており、2028年には従来型のITサービス市場を上回る需要が予測されています。このため、今後ますます組み込みエンジニアの需要が高まると予測されます。

参考:経済産業省|IT人材育成の状況等について

ITエンジニアと組み込みエンジニアの違いとは?

ITエンジニアとは、情報技術を活かしてコンピューターのシステムやインフラを作る技術者の総称です。

例えばシステムエンジニアはコンピューターのシステム開発を担い、インフラエンジニアはITインフラの構築を担当します。さらにフロントエンドエンジニアはWebサイトのユーザーが直接触れる部分を作成します。

他にも担当するポジションや用いる技術によってさまざまな職種があります。
その職種のひとつである組み込みエンジニアは、家電製品や自動車などの独立した機械に組み込む制御システムを開発します。

組み込みエンジニアの主な分野と仕事内容

組み込みエンジニアの仕事内容は、家電製品や自動車などに組み込まれるシステムの設計と開発を行うことです。

顧客の要望を理解した上で、組み込みエンジニアの専門技術を活かしてシステムを設計・開発します。時には物理的な部品や装置「ハードウェア」の設計や、保守・運用を担うこともあります。

組み込みエンジニアは大きく分けると、以下の3つに分類されます。

  • (1)自動車系組み込みエンジニア
  • (2)家電系組み込みエンジニア
  • (3)携帯端末系組み込みエンジニア

ここからは3種類の組み込みエンジニアそれぞれの仕事内容について、詳しく確認していきましょう。

(1)自動車系組み込みエンジニア

自動車系組み込みエンジニアとはその名の通り、自動車に組み込むコンピューターのプログラムを開発するエンジニアです。自動車1台には数十台のコンピューターが組み込まれていて、センサーなどの情報を基に連携して自動車を制御しています。そういったシステムを開発するのが自動車系組み込みエンジニアの仕事です。

自動車系の組み込みソフトウェアを開発する際、安全性の確保が重視されます。

自動車は些細な誤作動が重大な事故につながる可能性があり、人命に関わる仕事と言っても過言ではありません。特に自動運転技術の発展に伴い、より厳格な安全基準が求められています。

他にもエンジンの燃焼制御をはじめ、さまざまな機能をコンピューターが制御しています。
そのため、ハードウェアとの連携や、テスト・検証の徹底、ソフトウェアのアップデート対応も欠かせません。

自動車系組み込みエンジニアは、こういった多様な最先端テクノロジー導入に携わる仕事のため、新しい技術への関心が高いことや、責任感の高さが求められます。

(2)家電系組み込みエンジニア

家電系組み込みエンジニアとは、家電製品に組み込むコンピューターのプログラムを開発するエンジニアです。

近年では、インターネットと接続できるIoT家電が普及しつつあります。
例えばスマートフォンでスイッチが入れられるエアコンや、中身が確認できるカメラ付き冷蔵庫などインターネットにつながる家電製品が近年普及しています。

これらの製品を開発するのが家電系組み込みエンジニアの役割です。

このようなリアルタイムでの状態確認や遠隔操作が可能な家電は、今後さらに増えると予想されており、それに伴い家電系組み込みエンジニアの需要も高まっています。

こうした技術革新に対応するため、組み込みエンジニアには、従来の家電制御に加えてIoT技術への理解も求められるようになっています。

(3)携帯端末系組み込みエンジニア

携帯端末系組み込みエンジニアとは、携帯電話・スマートフォン・タブレットに組み込まれているコンピューターのプログラムを開発するエンジニアを指します。

具体的にはタッチパネルや指紋認証システム、カメラ、スピーカーなどのユーザーが直接触れる機能を開発します。
またそれだけでなく、次世代の通信技術とされる4G・5G、Bluetoothなどの無線技術の制御についての開発も行います。

携帯端末の多様化が進む中で、携帯端末系組み込みエンジニアには、最先端技術への適応力と幅広いシステム知識が求められます。そのため、多くの企業ではエンジニア向けのスキル向上教育を実施しています。

組み込みエンジニアが使うプログラミング言語とは?

組み込みエンジニアが使う最も代表的なプログラミング言語は、C言語です。

組み込みシステムはパソコンと比べて、コストを抑えるために最小限のCPUやメモリが使用されています。それゆえにファイルのサイズがコンパクトで、動作が早いC言語が頻用されているのです。

組み込みエンジニアを目指すなら、C言語がまず学ぶべきプログラミング言語といえるでしょう。またC言語の他にも、C++やPython、Javaなど幅広いプログラミング言語が用いられています。

これらのプログラミング言語を習得するためには、独学することやITスクールを受講することが選択肢にあげられます。まずはプログラミング自体が自分に合っているのか確かめることが大切なので、Webサイトや書籍を用いて基礎から学習してみましょう。ただC言語は初心者にとって環境構築や文法などが複雑で難易度が高いため、ITスクールで学ぶ方が挫折しにくくなります。

組み込みエンジニアの年収はいくら?

厚生労働省のデータによると、組み込みエンジニアの平均年収は約557.6万円とされています。また、スマートフォンアプリ開発エンジニアやシステムエンジニアの年収も同程度と報告されています。

このことから、組み込みエンジニアは他のエンジニア職種と同程度の年収水準であり、安定した報酬が得られる職種といえます。

参考:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag

また組み込みエンジニアの年収は、ITスキル基準「ITSSレベル」によって異なります。

ITSSレベル 組み込みエンジニアの年収
レベル1~2 420~620万円
レベル3 450~700万円
レベル4 500~780万円
レベル5以上 600~950万円
参考:厚生労働省|職業情報提供サイトjobtag「システムエンジニア(組込み、IoT)」

組み込みエンジニアは技術力向上や経験の蓄積によって、キャリアアップが望める職種といえるでしょう。

組み込みエンジニアに未経験からなるには?

組み込みエンジニアは、IT未経験から目指す場合には難易度が高いです。組み込みエンジニアとしての実務経験がない場合でも、C言語やC++での開発経験があれば採用される可能性が高くなります。

また他のエンジニア職種を経験した後に、組み込みエンジニアを目指す方がスムーズな可能性が高いため、そういったキャリアも視野に入れておきましょう。

ここでは組み込みエンジニアに必要とされる資格やキャリアパスについて解説します。
どういった資格やキャリアがあれば、組み込みエンジニアになれるのか確認していきましょう。

必要な資格

大手転職エージェントのdodaによると、組み込みエンジニアが保持する資格は、1位が基本情報技術者試験、2位が応用情報技術者試験です。組み込みエンジニアは取得必須の資格がないため、エンジニアに必要な知識が体系的に学べる2つの国家資格が人気となっているのでしょう。

参考:doda|組み込みエンジニアとはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説

また組み込みエンジニアの専門的な資格には「ETEC(組込み技術者試験制度)」という民間資格があります。取得すれば組み込みエンジニアに求められる専門知識が身に付きます。資格は初心者向けの「組込みソフトウェア技術者試験クラス2」と、中級者向けの「組込みソフトウェア技術者試験クラス1」の2段階です。

必要なキャリアパス

IoTやAI分野の経験があると、組み込みエンジニアへの転職に有利に働きます。したがってAIエンジニアやIoTエンジニアであれば、技術力が証明されて、採用につながる可能性があります。また組み込みエンジニアはC言語やC++での開発経験が問われることも多く、ゲームエンジニアやシステムエンジニアとして経験を積むこともひとつの手です。

また、それ以外のエンジニア職でも、開発プロジェクトに関わる実務経験があると、プロジェクトの進め方や技術の習得方法を理解しているため、キャリアチェンジがスムーズになります。

特に、組み込みエンジニアは幅広い製品に対応する必要があり、さまざまなプロジェクトに携わることが成長につながる職種でもあります。そのため、プロジェクト単位で多様な開発現場を経験できる働き方を選ぶのも成長のために重要です。

例えば、派遣エンジニアは特定の業界や技術に偏らず、複数の製品開発に関わることができるため、幅広いスキルを習得することができます。また、スキルや経験に応じた案件を選ぶことで、自分の成長に合わせたステップアップも可能です。

色々な求人を確認してみると、どのようなキャリアパスがあるのか具体的なイメージが湧きやすくなります。自身の強みや目標に合った道を選択できるよう、リサーチを進めてみましょう。

組み込みエンジニアが「やめとけ」と言われるのはなぜ?

組み込みエンジニアの仕事に対して、「やめとけ」という声を聞いたことがあります。ネガティブな意見があると、これから新しく目指す方は不安になってしまうものです。

後悔しないために、ネガティブな意見も確認して、納得したうえで組み込みエンジニアを目指すことが大切です。

「やめとけ」と言われる主な理由について確認していきましょう。

組み込みエンジニアの働き方や残業事情

組み込みエンジニアが「やめとけ」と言われる大きな理由として、残業時間が増えてしまう点があります。それは組み込みエンジニアの働き方が要因です。

組み込みエンジニアは他社の製品を開発する「受託開発企業」が就職先のひとつです。
受託開発企業は顧客の要望になるべく答える必要があり、時には無茶なスケジュールで依頼されることがあります。それゆえに激務になってしまうことがあり、残業時間が増えてしまうこともしばしば。

dodaによると、組み込みエンジニアの残業時間は月22.8時間というデータが出ています。

全職種の平均残業時間は月21.0時間なので、組み込みエンジニアは平均よりも残業時間が1.8時間多いということになります。

職場環境によって残業時間は大きく異なりますので、正確な残業時間や職場環境などは、企業へ入社する前に都度確認しましょう。

参考:doda|組み込みエンジニアとはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説 参考:doda|月の平均残業時間の実態調査(年代別・男女別・職種別)

組み込みエンジニアに向いている人とは?

ここからは組み込みエンジニアに向いている人の特徴を、以下の6つ紹介します。

  • (1)論理的思考が得意な人
  • (2)細部に注意を払う人
  • (3)ハードウェアに興味がある人
  • (4)持続的な学習意欲がある人
  • (5)チームで協力できる人
  • (6)プロジェクト管理能力がある人

1つずつ取り上げて確認していきましょう。

(1)論理的思考が得意な人

組み込みエンジニアは、論理的思考力がある人に向いています。組み込みエンジニアは、家電製品や自動車に搭載される最先端システムを開発します。

その目的を果たすために、筋道を立てて設計・構築に取り組まなければなりません。
特に組み込みエンジニアは、ハードウェアとソフトウェアの両方を理解して、効率的に組み合わせて開発する必要があります。高度なシステムを開発するために、複雑な技術を使う計画を立てる必要があるのです。

またコードにエラーが発生した時にも、コードを読み解き、問題解決に導かなければなりません。論理的思考力はそういった時にも役立ちます。

(2)細部に注意を払う人

組み込みエンジニアは、細部まで注意を払える人に向いています。エンジニアは少しのコーディングのミスで、プログラムの誤作動につながるからです。
また自動車や家電、スマートフォンに組み込むプログラムは小型で、制約が多く緻密な設計が求められます。

つまり組み込みエンジニアは細かい部分に気付けたり、慎重に業務を遂行できたりする人に適した職種といえるでしょう。

(3)ハードウェアに興味がある人

組み込みエンジニアは、ハードウェアに興味がある人に向いている職種です。
組み込みシステムは、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせたもので、両方が揃わないとその役割を果たせません。

家電製品やスマートフォンなどの機器に搭載する組込みシステムを設計・開発するため、他のエンジニア職種よりもハードウェアと深く関わりがあるのです。

案件によっては、ハードウェアの回路図面を参考に設計することもあります。したがって回路図面を読み解く知識や、部品「モジュール」の知識が問われます。

(4)持続的な学習意欲がある人

組み込みエンジニアは持続的な学習意欲がある人に向いています。エンジニアはプログラミングの知識に限らず、ハードウェアの知識、AIに関する知識、英語力などの専門知識を要します。幅広い知識が求められる職種で、日頃からコツコツ学習が継続できる人に適しています。

またIT関連の情報は移り変わりが早く、常にトレンドを追い求めなければなりません。新しい技術がリリースされた後真っ先に勉強して試すくらいのスピード感がある人は、エンジニアに向いているといえるでしょう。

(5)チームで協力できる人

組み込みエンジニアはチームで協力して仕事に取り組める人に向いています。エンジニアは1人でコーディングさえしていれば良い訳ではありません。業務は基本的にチームで進めることが多いため、協調性がない人には向いていない職種といえます。「報告・連絡・相談」を基本とするコミュニケーション能力を要します。

もし上司の指示が聞けない、社内ルールに従って業務が遂行できない場合、チームのメンバーや顧客に迷惑を掛けてしまうこともあります。

(6)プロジェクト管理能力がある人

組み込みエンジニアはプロジェクト管理能力がある人に向いています。プロジェクト管理能力が身に付けば、プロジェクト全体の管理を行う「プロジェクトマネージャー」やシステム開発の上流工程を担う「システムアーキテクト」といったキャリアパスが選択可能です。

プロジェクト管理として、適切な目標を設定したりリソースを管理して適切に配分したりする必要があります。もし計画に遅れが生じた場合、スケジュールの見直しや割り振り変更などを検討しなければなりません。

組み込みエンジニアとして働きたい人と人材にお困りの企業様をつなぐ

組み込みエンジニアは家電製品や自動車、ロボットなどに搭載されるシステムを開発するエンジニアです。市場が急拡大するIoTやAIと関わりが深い職種であるため、将来性の高さに期待できます。初心者には難しい分野であることを理解して、ITスクールを受講する、他のITエンジニアからキャリアチェンジするなども視野に入れることが大切です。

当社アウトソーシングテクノロジーでは、さまざまなIT関連プロジェクトで多くのITエンジニアが活躍しています。未経験でIT業界にチャレンジしたいといった方には、入社後に必要に応じて研修を実施しています。また、エンジニアのスキルやご希望に合わせてプロジェクトをご紹介をしているので、徐々にスキルアップしたいといった希望もかないやすい環境です。

C言語やC++の講座を取り扱っているので、組み込みエンジニア転職に向けた知識習得にも適しています。

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